オープンクエッションを駆使し会話を盛り上げる方法 〜豊富な質問例付〜
オープン・クエスチョンとは、「はい、いいえ」などの回答範囲を設けずに、相手が自由に返答できる質問を言います。具体的には、「5W1H」=「when(いつ)where(どこで)who(誰)what(何)why(なぜ)how(どうやって)」の6つの疑問符を使った質問です。
オープン・クエスチョンを使いこなせるようになることで、相手の考えを具体的に知ることができ、会話が広がりますので、コミュニケーションも活発になります。また、相手に考えを深めるきっかけを作ることにも繋がります。
この記事では、オープン・クエスチョンを意識的に使い分けて会話を盛り上げる方法を、豊富な質問例を交え、お伝えしていきます。
目次
1.オープン・クエスチョンとは
オープン・クエスチョンのベースは「5W1H」を使って質問をするということです。
1-1.オープン・クエスチョンの3つのメリット
オープン・クエスチョンの3つのメリットは以下のとおりです。
- 話し手は自由に回答することができる。結果、相手から幅広い答えを引き出すことができるため、会話が盛り上がる
- 相手に考えを深めて欲しいときにも活用でき、質問をされた方は新たな気付きが生まれる
- 自分では考えていなかったようなことを考えるきっかけになる
1-2.オープン・クエスチョンの3つのデメリット
デメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 答えを得るまでに時間がかかる場合がある
- 答えが決まっていないので思いがけない返答が返ってくることがある
- 信頼関係が必要な場合もある
答えを得るまでに時間がかかる場合があり、答えを急いでいる場合には適しません。相手が今まで気付かなかったような気づきをもたらす質問であればあるほど、相手が答える際に十分に考える時間が必要になるでしょう。
また、答えが決まっていないので、思いがけない返答が返ってくることもあるでしょう。よって、質問をする側には相手の答えをしっかりと受け止める姿勢や柔軟性が必要になります。
さらに、相手とそれほど親密でなかったり、十分な信頼関係が気付けていない場合には「特にありません」や「別に・・・」などといった答えが返ってきてしまい、会話がそれ以上発展しない、ということも起こりえます。
1-3.もうひとつの質問の種類:クローズド・クエスチョン
質問の種類にはもうひとつ「クローズド・クエスチョン」というものがあります。
オープン・クエスチョンが回答範囲を設けずに、相手が自由に返答できる質問であるのと逆に、クローズド・クエスチョンは、回答範囲を設けて相手が「yes/no」で答えるような質問を指します。
クローズド・クエスチョンは相手の答えを素早く得るのに有効です。また、相手のコミットメントを上げるときにも活用できます。
クローズド・クエスチョンは答えが二者択一のため、相手の考えはなかなか広がりません。また、あまり多用すると相手が責められていると感じる場合があるので気をつけてください。
2.what, why, how を使いこなして、会話を盛り上げる
オープン・クエスチョンの中にも、ある程度答えが限定されている質問とさらに相手が自由に考えて答えることができる質問とがあります。
what(何)why(なぜ)how(どうやって)を使った質問は、もっとも相手が自由に答えられる質問です。
しかしながら、以下のような質問は、答えがある程度決まっています。相手の発言が大きく広がる可能性は低い質問です。具体的には、who(誰)when(いつ)where(どこで)という質問です。
このような質問は、事実を確認したり、必要な情報を手に入れることには適しています。また、行動を具体化したり、イメージをつくるには適しています。ですが、あまり会話は広がりません。
会話を盛り上げるためには、what(何)why(なぜ)how(どうやって)を使った質問を多用するといいでしょう。
2-1.whatを使いこなして、より具体的に引き出す
whatを使うことで、会議や話し合いの場でより具体的な返答を得ることができます。よって、相手と共通の認識を持ちたいときに最適です。以下のような質問を投げかけることで、相手に深く考えさせることもできます。
また、カジュアルな場面においても、相手のことをより知ることができますのでwhatをつかった質問は最も活用できます。
ただし、矢継ぎ早に相手に質問をしていると尋問かと思われてしまいます。きちんと答えを受け止めた上で質問するようにしましょう。
さらに、whatを使うことで、より具体的な返答を得ることができます。例えば、how(どうやって)をつかった質問を次のように言い換えることが可能です。
→ このプロジェクトにどんな方法で取り組みますか?(what)
この2つでは、whatを使った質問のほうがより具体的な返答が返ってくる可能性が高くなります。
さらに、相手へのプレッシャーを和らげて問題を追求していくことが可能になります。例えば、whyを使った質問を次のように言い換えることが可能です。
→ 何があったらミスを起こさずに済んだと思いますか?(what)
この2つでは、whatを使った質問のほうがより答えやすくなるでしょう。
2-2.howを使いこなして、アイディアをたくさん引き出す
howの質問はアイディアを発展させ、具体的な方法や行動を引き出していくときに有効です。
例えば、相手からたくさんアイディア引き出したいときに活用できます。これらの質問に加えて「他にも何かありますか?」という質問と組み合わせることによって、いくつもアイディアが出てくるでしょう。
また、「最近、仕事の調子はどうですか?」などとテーマをあえておおまかに提示することで相手が答えやすくなります。
2-3.whyを使わずに、原因を追求する
why(なぜ)の質問をするときは問題を追求したいケースが多いでしょう。第三者として説明を求めるとき、原因を特定するときなどには活用できます。
しかし、相手がその事柄に関わっている場合、言い方や状況によっては「責められている」と感じて萎縮してしまうことがあります。
そんなときは、whyの質問をできるだけwhatやhowを用いた質問によって言い換えることをお勧めします。
多くの人が意識をしないとどうしても素早く相手から答えを得ようとしがちです。意識的にオープン・クエスチョンを使っていきましょう。
また、それぞれの質問のパターンは、タイミングや組み合わせによってそれぞれの効果を発揮します。どの質問が優れているというわけではなく、適切な場面で最も適した質問をしていきましょう。
3.会話を発展させるために気をつけるべき2つのポイント
実際にオープン・クエスチョンを相手にしてみたところ、なかなか相手がうまく答えてくれなかったり、会話が盛り上がらなかった、という経験をした方もいるかもしれません。また、相手がなかなか返事をしてくれなかったので待ちきれなかったという方もいるかもしれません。
会話を広く盛り上げるためにはオープン・クエスチョンが適していますが、気をつけるべきことがあります。それは次の2点です。
- 沈黙を受け入れる
- 相手の言ったことをまずは受け止める
これらを身につけることで、相手から信頼を得ることができます。そうしてより会話が弾むことになりますので、ぜひ身につけてくださいね。
3-1.沈黙を受け入れる
まず必要なことは「沈黙を受け入れる」ということです。十分に考える時間を待ちましょう。
なぜなら、答えを導き出すのに必要な時間は人それぞれです。ましてや、自由に答えられるオープン・クエスチョンで、かつ個人に深く立ち入ったテーマであればあるほど、考える時間が必要になるでしょう。
また、オープン・クエスチョンは相手から幅広い答えを得ることはできますが、それは一方で相手の答えづらさを引き出すことにもなります。自由に答えられる分、答えを考える時間を持つことが必要になるからです。
3-2.相手の言ったことをまずは受け止める
まずは相手が言ったことを受け止めましょう。決してその答えに同調する必要はありません。「なるほど、相手はそう思うんだな」という受け止めることが重要です。同意をしてもらえばもちろんですが、同意されなくとも受け止めてもらうだけで答える側は安心感を覚えるものなのです。
相手の言ったことに対していつもあなたが反応する第一声は何か、意識をしたことはあるでしょうか。「いや、それは・・・」「でも・・・」「そうじゃなくて・・・」などといった、言葉を発している場合、せっかく答えても否定されていると感じます。そうなれば、質問された方は答えることが怖くなってしまいます。
これらの2つのポイントは、もしかしたら少し難しく感じるかもしれませんがとにかく実践を繰り返すことで自然にできるようになります。
4.オープン・クエスチョンを作ってみよう(エクササイズ)
では実際にそれぞれの状況において、どんなオープン・クエスチョンができるでしょうか。実際に質問を作ってみましょう。
後輩が「プレゼンがなかなかうまくできないので、次の会議へ向けてどうしたらいいかわからない・・」と悩んでいる。モチベーション自体が下がっているようなので、後輩のモチベーションを高めつつ、問題点を洗い出してプレゼンを成功させてもらいたい。
【質問例】
- プレゼンがうまくできないと思うのはなぜですか?
- どうやったらをプレゼンがうまくなると思いますか?
- プレゼンの準備は何が必要だと思いますか?
- プレゼンがうまくいったらどうなると思いますか?
- 以前プレゼンがうまくいったな、というときは、いつですか?
- うまくいく場合と、そうでない場合は何が違うと思いますか?
- プレゼンが上手い○○さんなら、どうすると思いますか?
部下とともに月間目標を立てた。部下に目標を達成してもらいたいのはもちろん、自分が指示をするのではなく部下自身に考える力をつけてほしいと思っている。
【質問例】
- どうしたらこの目標を達成できると思いますか?
- 目標を達成するために、何ができますか?
- 何のために、目標を達成したいですか?
- 目標を達成したその先で達成したいことは何ですか?
部下が不適切な処理をしたために、ミスが発生した。上司として、詰問をせずに原因を知りたい。また、今後のために、間違った知識を持っているのならば正しい情報を部下に教えたい。
原因を追求したいときに真っ先に思いつのは「どうしてミスをしたんだ?」というwhyをつかった質問でしょう。これをwhatやhowを使った質問に変換するとどうなるでしょうか。
【質問例】
- ミスをした原因はなんだと思う?
- どんな手順を追ったのですか?
さらに、以下のような質問をすることで、部下の考えを広げながらアドバイスをすることができます。
【質問例】
- 他にはどんなやり方があっただろうか?
- どうやったらうまくいかせることができただろうか?
- 何があったらうまくいっただろうか?
- うまくやっている人はどうしているだろうか?
5.まとめ
オープン・クエスチョンを使うことで、信頼関係を築きながら相手の考えや思いを知ることができます。そして、相手を深く理解するきっかけになります。
そして、オープン・クエスチョンの答えをしっかりと受け止めることで、自分のことを話し手も大丈夫な相手だ、自分のことを理解しようとしてくれる人だとして安心感を得てもらうことができます。よって信頼関係を築き上げることができるのです。
オープン・クエスチョンをスムーズに使いこなして会話を盛り上げられるようになるには、とにかく日頃からオープン・クエスチョンを積極的に使っていくことが近道です。
一度うまくいかなかったと思う質問でも、相手や状況が変わればスムーズに答えてもらえることができる場合もあります。ぜひ、オープン・クエスチョンを意識して取り入れ、会話を盛り上げていきましょう。
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森本 菜都美
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