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  • コミュニケーションとは相手に要求すること。コーチングに於いてもまた、然り。
  • コミュニケーションとは相手に要求すること。コーチングに於いてもまた、然り。

    2018/12/14
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    「できれば、それをやっていただけると嬉しいのですが・・・」

    とても丁寧な言い回しですが、この言葉も「要求」のひとつです。

    コーチングに於いても、「要求」は非常に効果的。行動して初めて結果に結びつくので、たくさん行動してもらいたい・・・行動のために、あれもこれも考えてほしい・・・

    でも、ちょっと待ってください。

    冒頭のような「要求」で、果たしてクライアントは行動を起こすのでしょうか?成果につながるのでしょうか??

    答えは、No!です。コーチングでは、もっとストレートに要求することが効果的です。

    普段のコミュニケーションと、コーチングにおける「要求」の違いをお伝えしていきます。この記事を最後まで読み、あなたも、クライアントにしっかり「要求」出来るコーチになってくださいね。

    「要求」するコミュニケーションのパターンと弊害

    コミュニケーションは、人間がコミュニティーを構成したり、共同体として成り立たせたりするために必然的に発生し、発達してきました。その中では当然、相手に「要求」をする場面は多く存在していました。

    現代のコミュニケーションにも当然、「要求」は必要不可欠です。しかし、相手にストレートに要求することに抵抗感を覚える人も少なくないのではないでしょうか。

    あなたは、どうですか??

    「もし拒絶されたらどうしよう」という不安や、「一方的に要求することは相手に対して申し訳ない」という感情を抱いてはいませんか??

    拒絶が嬉しい人はいませんから、そんな感情を抱くのは当然です。そして、その不安や感情をできるだけ抑えつつ、相手に要求するために、様々な工夫をします。

    • 正論を提示することで要求が正しいと思わせる
    • オブラートに包みながら要求が伝わるようにする
    • 「誰かがそう言っていた」かのように間接的に伝える
    • 要求する代わりに相手にもメリットがあることを伝える

    このように、可能な限りストレートな要求を避けつつ、相手に伝わるようなコミュニケーションを、人は自然と、あるいは意図的に行っています。それが、コミュニケーションを円滑にする方法に感じるのです。そして確かに、人間関係を即座に悪化させる事態を防ぐことには効果があります。

    しかし、それ以上に大きなデメリットがあります。それは、要求する側の意思やその要求内容が伝わりにくくなることです。本気度や熱意も伝わらなくなります。問題解決や物事の発展にも悪影響になり、お互いの関係がギクシャクするなどの弊害も起こりうる可能性が出てきてしまうのです。

    コーチに求められるのは毅然とした要求である

    特にコーチングにおいては、間接的な遠回しな要求は、効果的ではありません。

    確かに相手のことを思いやる気持ちは重要です。ただ、すべてを遠回しな表現で要求し直接的な伝え方を避けてしまうと、相手に正しい情報が伝わらないだけではなく、「結局、何が言いたいのかわからない」という不信感を持たれかねません。

    オブラートに包んだ言い方では、まどろっこしいのです。

    • 「目標を設定したら、そこまではやり通してください」
    • 「目標を設定したら、できればやり通してくれるとありがたいのですが」

    伝わり方が、まるで違いますよね。前者の方は、シンプルでストレートです。後者は、及び腰でやればいいのかやらなくていいのか分かりません。コーチの本気度が伝わるのは、当然、前者ですよね。

    コーチングでは、コーチとクライアントの間に『正直に対話ができる環境』が作られていることがすべての前提になります。その環境があれば、衝突などのリスクがあることも認識しながら「言うべきことは言う」「要求があればハッキリと伝える」ことを徹底できるのです。

    この『信頼関係』と『安心・安全の環境』を作るのが、オリエンテーションです。(オリエンテーションについては別の記事をご参照ください) 間接的で遠回しにしか言えないのであれば、それはオリエンテーションが不十分だったのです。その場合はもう一度、コーチとクライアントでお互いの関係性を確認し直して、新たにスタートさせていくと良いでしょう。

    『正直に対話ができる環境』であるという前提で、コーチは毅然とした態度で要求すればいいのです。

    • 「目標を設定したら、そこまではやり通してください」
    • 「時間やルールは必ず守りましょう」
    • 「もう少し端的にわかりやすくまとめてください」
    • 「怒りを露わにするのではなく冷静に対処しましょう」

    これらは、決して失礼な表現ではありません。ただ、ストレートに要求しているだけです。

    また、要求すれば、クライアントが自分の思い通りに動き、全てがシナリオ通りに行くとは限りません。あくまで主体者はクライアント。選択権はクライアントが持っているのです。

    クライアントは反論する権利も、賛成する権利も持っています。別のアイディアを採用する権利も持っています。ですので、要求を断られたときも、コーチを否定しているわけではありません。コーチがネガティブに受け止める必要もありません。コーチがストレートに要求したのと同様、「ストレートに拒絶した」だけです。

    コーチの意見を無視しているということではないので、勘違いしてはいけません。クライアントの状況も聞きながら、その上で新たな要求や提案をしたり、必要に応じて情報も提供・共有したりすることで、コーチとクライアントが一体となって共通のゴールへと向かっていくことが重要なのです。

    要求により生まれる行動や可能性

    コミュニケーションで重要なのは、クライアントが新たな気づきを得て成長することです。能力や可能性は、自分では気づかないことも多いもの。コーチングのプロセスの中で気づきを得るからこそ、開花していくのです。

    自分の頭のみで考えて行動できる人は、案外多くないもの。コーチから要求されることで、初めて行動に移すことができる人も多いのです。ほとんどの人は、誰かのアイデアや促し、そして「要求」があってこそ行動にコミットできるものなのです。

    「要求」には勇気が必要ですし、行動に移す側にも勇気が求められることになります。コーチとクライアントの間の信頼関係、お互いが自分自身をどれだけ信頼しているのかも、要求や行動には大きく関わってきます。

    コーチとクライアントという関係のもと、共にゴールに向かうのがコーチングです。「要求」は、目標・課題・物事の明確化、解決策の具体化に役に立つ、優れたコミュニケーションの手段なのです。

    終わりに

    「それをやってください」

    シンプルな言葉は、ストレートで強い要求になります。

    強い要求を出すには、コーチ自身も信念を強く持って、クライアントに真剣に関わっていく覚悟も求められます。それでこそ、真のコーチングの効果が発揮されていきます。

    コーチ・クライアントともに、コーチングの目的を合意した上で、強く要求して、クライアントの行動を促し、ゴールに向かって邁進していきましょう。

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    この記事を書いた人
    佐藤 友康
    佐藤 友康

    マーケティングコーチ

    千葉大学工学部卒業後、IT企業にて10年間、商社向けの基幹システムの運用/保守・改善業務に携わる。
    2012年にコーチングを学び始め、2014年よりコーチとしての活動を開始、2017年に独立し、個人事業主・起業家の売上UP・web集客などを支援する。
    コンラボには2016年よりライターとして、2018年より社内コーチとして参画。
    著書に「習慣化を成功させる本」「自分と可能性を育てるチャレンジの習慣」がある。

    趣味の将棋はアマ三段&将棋普及指導員。

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