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  • ティーチングとの比較

    2018/10/01
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    この記事を読んでいただきたいのは、日本の企業で管理職や指導的な立場として働いている方々です。こういった方々に、後輩や部下を指導する際コーチングをぜひ活用して欲しいのです。

    日本では企業でも学校でも、上司や教師という立場の人が知識や技能を教える「ティーチング」という指導を行っていることが多いです。もちろんティーチングは必要なことですし、特に相手がその分野の初心者である場合は、しっかり手取り足取り基本を教え込むことが重要になってきます。

    このティーチングに対し、コーチングとはひとりひとりの内面に潜んでいる可能性や能力、やる気を引き出すものです。教え込むこととは、根本的に違います。また、ティーチングはすべての人に対して同じ内容を同じ方法で伝える、いわば画一的なアプローチですが、コーチングは個々にあわせて内容と方法を変えて行うアプローチです。

    学校では数十人の生徒に対してひとりの教師が同じ教科書で同じ項目を教えていきます。企業の場合も講師となる人物が一斉に指導をすることがあります。これはティーチングです。ではコーチングとはどのようなアプローチなのでしょうか。

    例えば、接客業で「真面目に黙々と仕事を行うものの笑顔が少ない」というタイプの部下がいたとします。この部下に「もっと笑顔でお客様に接しましょう」と伝えたい場合、接客に従事している社員全員と一斉に接客の講習を受けさせるよりも、本人の接客を映像で撮影したものを見せたほうが効果的な場合があります。

    そもそもコーチングとは相手を「信じること」「認めること」「任せること」が基本の考え方です。これが前提です。この3つの基本の考えについて、少し掘り下げてみましょう。

    「信じること」

    「信じること」とは信頼関係を築くということです。上司がどれだけ真っ当なアドバイスをしても、そもそも部下が上司を信頼していなければ「あんな上司の言うことなんて聞きたくない」と思ってしまうでしょう。

    部下からの信頼を得るためには、部下の行動をしっかり観察し、適切な評価を行うことが大切です。営業成績が良い、悪い、などとわかりやすい指標だけで判断しないことが大切です。そして、自らが信頼に足る行動ができているかも大切なポイントです。

    自分が時間にルーズなのに、部下にだけ時間を守るよう注意しても、部下は不信感しか抱きません。上司という立場でアドバイスを行うなら、必ず言行一致しているかどうか振り返ってみてください。

    また、管理職の方の中には、ついつい自分で仕事を抱え込んでしまうタイプの方がいます。これは部下を信じていないがゆえに、適材適所の仕事を部下に任せることができていないのです。「あいつに任せるのは不安だから自分がやってしまおう」という意識が働いているのです。これではチームの発展は望めません。つまりチームがより良い状態に向かうためには、部下を信じ、部下から信じられる上司にならなければいけないのです。

    コーチングを学ぶ手法のひとつに「ブラインド・ウォーク」というものがあります。これは二人組をつくり、ひとりは目をつぶって歩く、もうひとりはその人を介助するというものです。最初は相手に対して不安を感じているので、目をつぶったほうの人はうまく歩けません。しかし介助者の指示に従って歩いていくうちに、不安感は取り除かれ、堂々と歩けるようになってきます。

    このブラインド・ウォークは、信頼関係の築き方を端的に表しています。信頼というのは、少しずつ少しずつ、時間をかけて生まれるものなのです。最初から「しっかり介助するから安心してそこを飛び降りてみなさい」といっても無理な話です。

    そしてこのブラインド・ウォークでは、信頼関係はすぐに崩れてしまうということも学べます。介助者がうまくエスコートできず、目をつぶった人が壁にぶつかったりすると、一気に介助者の言うことを信じられなくなってしまいます。

    一度このブラインド・ウォークを試してみてください。いかに信頼というものが大切かを、体で理解することができると思います。信頼関係を築き、目標を達成するために一緒に歩んでいくというコーチングの本質も体験できます。

    「認めること」

    仕事のできる上司ほど、この「認める」という行動ができていないように感じます。仕事ができるがゆえに、どうしても部下の欠点やミスに目を向けてしまいやすいからです。それは認める、ではなく「見咎める」ことです。

    欠点やミスが多いと思っても、よく観察してみると部下ひとりひとりに長所があることに気づくはずです。それを理解し、適材適所の仕事を割り振ることができれば最高です。そして見つけた長所や成長は、しっかり言葉に出しましょう。

    「君のレポートはとても見やすいね」「笑顔で接客していたからお客様が喜んでいたよ」などと細かく具体的に言葉にしてあげると、部下は「しっかり見てくれている」と思い、上司に信頼を寄せるようになります。

    ただし、思ってもいないことや事実でないことで褒めてはいけません。これは単なる「おだて」「媚び」です。逆に信頼を失ってしまうことにもなり兼ねないので、しっかりと相手を観察した上で、長所を認め、褒めるようにしましょう。「認めること」には観察力が必要です。

    「任せること」

    チームが発展していくためには、ひとりひとりに合った役割を割り振り、実力に合った目標を設定することが大切です。人は自分に合っていない仕事をしているときは能率が下がりますが、得意なことや好きなことをしているときには抜群のパフォーマンスを発揮するものです。この法則を利用して、チームを発展させられるのが、有能な上司でしょう。

    なお、「適材適所」とはマネジメント論で頻繁に使われる言葉ですが、定義は非常に曖昧です。それは個人から見た場合と、組織から見た場合で意味合いが違ってきてしまうからです。個人としては「自分に合った仕事だな」と思っていても、企業として結果が出ていなければそれは無意味です。

    「ある人にある仕事を振ったとき、企業にとって利益があるか」ということを考えなければいけません。経済学用語では「期待収益」と言いますが、この「期待収益」を最大化する人材配置こそが、適材適所です。

    現代社会は成果主義の高まりとともに、個人の希望と組織の利害が矛盾するケースが増加しています。このような状況においては、ひと昔前よりも、より適材適所を重視したマネジメントが必要になります。

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