最近、「コーチングで独立」「コーチング起業」など、ビジネスとしてのコーチングに関する言葉を時々目にするようになってきました。コーチングを実際に体験し、コーチという仕事に興味を感じ始めた人も多いのではないでしょうか。
でも、コーチングビジネスといっても、なかなか具体的にイメージしづらいですよね。
「コーチという職業はどんなもの?」
「どんなふうに収入を得ているの?」
「コーチで食べていけるの?」
「仕事の将来性は?」
などなど、たくさんの疑問が湧き上がってくるのではないでしょうか。
そんなあなたのためにこの記事では、コーチングビジネスとはどういうものか、どんなメリットやリスクがあるのか、などについて紹介していきます。
目次
コーチングビジネスとは、そもそも誰に何を提供して報酬を得るものなのでしょうか?
クライアントに対してコーチング・セッションをして報酬を得るというのが一般的なコーチングビジネスの形です。やっていることは「会話」。でも、話をするだけで報酬を得ることができるのはなぜなのでしょう?
それを理解するためには、まずコーチングとは何か、コーチングを受けることでクライアントは何を得ているのか、という本質を理解する必要があります。
コーチングを「マネジメントや人材育成のために使われるコミュニケーション手法の一つ」と思っている人も多いかもしれません。もちろんそれもコーチングの一つの側面ではあるのですが、それだけではありません。
コーチングの目的は、クライアントが潜在的に持つ力を最大限発揮できるようになること。一見話をしているだけのように見えても、そこには明確な目的と、それを達成するためのスキルがあります。
コーチングを受けることによって、クライアントは、これまでとは違ったものの見方や思考を手に入れ、これまでとは違った次元の目標を設定し、自分一人では実現できないような効率とスピードで成果を手にすることができるようになるのです。
そしてそのサポートへの対価として報酬を受け取る、というのがコーチングビジネスの基本的な考え方となります。
では、コーチングはどんな分野で活用されるものなのでしょうか。日本では、ビジネスの文脈の中で語られることの多いコーチングですが、実際はビジネスには限らず様々な分野・テーマで行われています。
分野別、対象別に例を挙げてみましょう、
対象:
エグゼクティブ マネージャー スポーツ指導者 起業家 個人
テーマ:
ビジネス関連
組織 人事 キャリア コミュニケーション マーケティング
ブランディング 集客 タイムマネジメント セールス 等々
ビジネス以外
ライフ(人生全般) スポーツ マネー 勉強 資格取得
片付け ダイエット 人間関係 子育て 恋愛
婚活 離婚 開運 引き寄せ 等々
いずれも、目標達成や課題解決のために、対話を通して気づきを促し、行動を促進して、成果をともに目指すという点は共通しています。ここにあげたのはほんの一例ですが、対象もテーマも様々で幅広いニーズがあることがお分かり頂けるかと思います。
コーチングビジネスに興味があるけれど、自分はコーチの適性があるかどうか分からない、という人もいるかもしれません。
一般的に、コーチに向いている人の特性の例として、以下のような項目が挙げられます。
とはいえ、コーチングは「スキル」です。性格的な向き・不向きはトレーニングでスキルを身に付けることによってある程度克服することができます。
コーチングビジネスを仕事や働き方という点から考えた場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、コーチングという仕事の魅力をいくつかご紹介します。
◇ 身体一つで始めることができる
コーチングで主に行うのは「会話」です。商品などを扱うビジネスではないので、事前に商品を仕入れたり在庫を抱えたりするリスクがありません。また、邪魔が入らずにセッションを行える環境があればよいため、必ずしも事務所などを構える必要がなく、身軽に始めることができます。
◇ 自分の得意分野や経験を生かすことができる
前述のとおり、コーチングは対象もテーマも様々です。あなたの持つ知識や強みを生かし、得意な分野でクライアントをサポートすることで付加価値を高めることができます。また、あなたが人生の中で悩み、乗り越えてきた経験もコーチングを行う上では大きな財産となります。
◇ 働く時間・場所を自由に決められる
コーチという仕事は、決められた場所や時間で行わなければならないというものではありません。クライアントとの話し合いの上で、場所・時間を自分で設定できるため、自分の状況に合わせた柔軟な働き方を選択することができます。
◇ クライアントに感謝され、やりがいを感じる
コーチングはクライアントの学びや成長をサポートする仕事です。クライアントの成長を目の当たりにし、目標達成の喜びを分かち合うことで大きなやりがいを感じることができます。クライアントから感謝される場面も多いことでしょう。
◇ 自分自身も成長を実感することができる
コーチングは、コーチとクライアントが親密な信頼関係を構築することでこそその機能を発揮するものです。クライアントとの良好な関係性を構築する中でコーチ自身も気づきや学びを得られることが多く、ともに成長することができます。
◇ 自分の裁量でビジネスを大きく成長させることができる
提供するコーチングの付加価値を高める、報酬体系やビジネスモデルを構築する、コンテンツ商品を作るなど、自分の工夫と裁量によってビジネスを大きく成長させていくことが可能です。
◇ これから需要の高まりが期待できる業界である
国際コーチ連盟のレポートによれば、北米のコーチング市場はここ5年間で年間5%程度ずつ成長しているといいます。ビジネスの世界はもちろんですが一般の人でも専属のコーチをつけることが普通になってきているのです。日本でもコーチングに対する認知は広がってきており、今後は需要が高まることが期待されます。
コーチングビジネスには多くの魅力的な側面があることがお分かり頂けたかと思います。とはいえ、コーチングビジネスは、“手軽で良いことばかりの儲け話”では決してありません。あらかじめ理解したうえで対応を考えていくべきリスクも当然あります。
ここでは、そのような「コーチングビジネスを行う上でのリスク」をいくつか紹介します。
◆ ある程度のまとまった初期投資が必要
コーチとして開業するために、決められた要件というものは、特にありません。コーチングの知識やスキルがあれば、「コーチ」と名乗ってすぐにも仕事を始めることができます。 しかしプロとしてコーチングができるレベルのスキルを身に付けるためには、知識の習得に加えて一定の練習を積む必要があり、独学で身に付けることは難しいのが実情です。実際、多くのプロコーチは、何らかのコーチ養成講座を受講しトレーニングを受けています。
コーチの養成を行うスクールや講座は数多くありますが、いずれも受講料としてある程度まとまった費用がかかり、それなりの自己投資が必要となることは理解しておきましょう。
※どんなスクールがあるかについては、こちらの記事を参考にしてください。
コーチングの資格を取れる団体の選び方
◆ クライアント獲得ができない
コーチングを学んだだけで、すぐにクライアントが現われ契約が結べるわけではありません。
つまり、コーチングのスキルを身に付けたからといってすぐに収入に結びつくというわけではなく、自力でセールスやマーケティングを行って、クライアントを獲得していかなければならないということ。そして、コーチングのスキルと、セールスやマーケティングなどのビジネススキルは全く別のものなのです。
実際に、高額の講座を受講してコーチングの資格を取っても、それが収入に結びついていない人は多いと言われています。コーチとして満足できる収入を得るためには、コーチングを学ぶと同時に、ビジネスのスキルも併せて身に付ける必要があることを理解しておきましょう。
◆ 適切な料金設定ができない
コーチングを学びクライアントも獲得できたけれど、適切な料金が設定できず、思うような収入が得られていないというのもよく聞くところです。
自分が提供するコーチングに対して自信が持てず低い価格設定しかできない、コーチングの価値を伝えきれず単に「高い」と捉えられクライアント獲得に至らない、といったことが起こっているということです。
自分のコーチングの価値を自分でしっかり理解できていないと、クライアントの満足度を上げる、付加価値を高めるなど、将来的に高い料金設定ができるようなサービスを提供したり情報発信をしていくことはできません。
そのためには、自分の強みや得意分野などの自己分析を行うことはもちろんですが、それに加えて、自分もコーチングを受けてその価値を実感することも必要です。クライアント(=ユーザー)としての経験を積むことで、コーチングの価値とは何なのか、クライアントとしてコーチに何を求めるかなどが自らの体験を通して明確になり、自信と説得力を持って料金設定をすることができます。
では、実際のところどれくらい稼げているの?というのが気になるところです。
残念ながら、日本でプロのコーチがどれくらいの収入を得ているかについて、今のところ公表されているデータはありません。
コーチのレベルや経験年数、ビジネスモデルなどによって千差万別…というのが実情かと思います。
とはいえ、これでは考える手がかりになりませんので、ここでは参考として国際コーチ連盟のレポートから、コーチング先進地である北米のデータをご紹介します。
2016年の国際コーチ連盟のレポートによると、プロコーチの北米での平均収入は61,900ドル(1$=110で日本円に換算すると680万円)となっています。
これがどれくらいの収入なのかを調べてみると、会計事務所で働く公認会計士の平均年収とほぼ同じくらいのレベル。公認会計士という、高度な知識を求められる専門職と同程度の収入を得ているということで、コーチという職業が北米で一定の評価を得ているということの一つの目安になるかと思います。
このレポートの中には残念ながら日本単独のデータはないのですが、アジアでのプロコーチの平均収入は37,800ドル。北米に比べると、まだまだ低いというのが現実です。今後、コーチングに対する認知度が上がることで、日本でのコーチの収入も高まっていくことが期待されます。
ここまで、コーチングビジネスについて紹介してきましたが、いかがでしたか。
コーチという職業は、決してリスクがないわけではなく、絶えずスキルを磨き続け、サービスの質を高めていく努力を続けて行くことが求められます。
その一方で、コーチという働き方には、主体的に働き方を選択できる、自らも成長し続けることができるなど、数多くのメリットもあることがご理解いただけたと思います。
これからは、一人一人が自ら考え行動することがより大切になる時代。そのような中では、コーチングは伸びしろの大きい、将来性の期待される分野です。
もしあなたが、自分のキャリアや働き方を見直したいと考えているのなら、将来の選択肢の一つとしてコーチングビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。
ブレイクスルー英語コーチ 津田塾大学卒業後、証券会社、PR会社、留学等を経て外資系銀行の広報部にて広報業務全般に従事。東日本大震災をきっかけに、震災復興支援業務に携わるとともにコーチングを学び、現在は【一目置かれる英語を話すための発話・発音コーチング】を提供している。仙台在住。二児の母。コンラボには2016年よりライターとして参画。また、ストレスクリア®コーチとしても活動中。
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