この記事を読んでいるあなたは、「コーチングで起業」「稼げるコーチになる」等の言葉を目にして、コーチングビジネスに興味を持っていることと思います。中にはコーチングビジネスで起業することを具体的に考え始めている人もいるかもしれません。
コーチングはこれからも成長が見込まれる、将来性の高い仕事です。またその一方で、コーチの資格は取ったけれど思うようにビジネスが上手くいかず、コーチングだけでは「食えない」という話も聞かれます。
コーチとして起業し成功するためにはどんなことが必要なのでしょう。
この記事では、コーチングで起業する際に、どんな準備が必要か、そして軌道に乗せるためにはどんなポイントを押さえておけばよいかについて紹介していきます。
コーチングで独立・起業するためには、「コーチング」ができないことには始まりません。この章では、コーチングを身に付けて「できるようになる」ための方法とプロセスを簡単に説明します。
コーチングはクライアントがコーチとの対話を通じて成果を手にし、ステージアップしていくためのコミュニケーション技術。「話をきいてもらってすっきりした」レベルの会話ではなく、クライアントを成果導くための理論と技術に裏打ちされたものです。
独学で学ぶことが不可能とは言いませんが、コーチとして仕事をして行くのであれば、プロコーチとしての経験が豊富な先生から、コーチングの理論とスキルの基本をしっかり学ぶことをおすすめします。
コーチングのスクールや講座はたくさんあるので、カリキュラム、期間、レベル、講師、授業形態、場所、費用、修了後に資格が取れるかどうかなどを調べ、自分に合ったものを選んでみてください。
コーチと名乗って仕事をするうえで資格は必要なのでしょうか?日本には、民間団体が発行する「コーチ」の資格は複数存在しますが、「これがなければコーチとは名乗れない」というような国家資格などはありません。つまり、コーチとして仕事をするために資格が絶対に必要とされるわけではないのです。
とはいえ、多くの資格は、コーチングについて学んだ時間と実際にコーチングを行った時間を資格取得の前提条件としているものが多く、ある程度の知識と経験を持っているということを示すことができるものではあります。実際に仕事をするうえでは、資格を持っていることが条件面などで有利になるという場面もあるかもしれません。
スクールや資格については、こちらの記事を参考にしてください。
前述の通り、コーチングはスキルを完璧に身に付けて資格を取らないと開業できない、ということではありません。むしろ、学び始めたら即実践が上達の早道。クライアントにコーチングを提供し、ビジネスとして走りながらスキルアップしていくイメージです。
コーチングのセッションは、対面で行うこともありますが、電話やSkype、Zoomなどでも行うことができます。つまり、落ち着いてセッションができる静かな環境と、ストレスなく通話のできる通信手段さえあれば、すぐにもクライアントにセッションを提供することができるのです。
まずは、身近にいる人にクライアントになってもらって、実際のセッションの中で試行錯誤しながら学んだスキルをどんどんブラッシュアップしていきましょう。
また、その際には、少額でも良いので、必ずお金をいただいてコーチングを提供することをおすすめします。お金をいただくことで、コーチ・クライアントともテーマへの取り組みがより真剣になります。それによって成果も出やすく、結果的にスキルの上達も早まるのです。
前章ではコーチングできるようになるための方法を紹介しましたが、一方、「コーチングができる = コーチングビジネスが上手くいく」というわけではありません。起業するからには、ビジネスとして立ち上げ、軌道に乗せるためのプランが必要です。
この章ではコーチング起業の全体像を把握し、プランを描くために検討すべき項目を紹介していきます。
一般的に、コーチングのスキルはどんなテーマの課題解決や目標達成にも使えるともいわれています。とはいえ、世の中にたくさんいるコーチの中からあなたを選んでもらうためには、クライアントにとっての「あなたを選ぶ理由」が明確であることが必要。つまり、「なんでも屋」ではなくて、「xxの専門家」という立ち位置を明確にするということです。
◆ あなたは誰に何を提供する人なのか?
◆ あなたは誰のどんな悩みを解決する人なのか?
◆ あなたは何の専門家なのか?
これらの点を明確にし、他のコーチとは違う独自サービスを作り上げていきましょう。
※このように、自分がターゲットとするクライアントを定め、そのクライアントに対して自分が提供するサービスについて独自の立ち位置を明確にしていくことを「ポジショニング」といいます。ポジショニングについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
独自のサービスを考えるためには、自分の強みや得意分野を明らかにしておくことが必要です。
など、様々な角度から自分の強みや経験を書き出してみましょう。
また、他の人(家族・友人・同僚など)に聞いてみると、自分では気づくことのできない思わぬ強みが見つかることもあります。
自分の強みや得意分野は、他のコーチにはない独自性を考えるための強力な材料となります。
これらを踏まえて、あなたがどんな人のどんな悩みに焦点をあててサービスを提供していくのか、を考えていきましょう。
あなたが提供しようとしている分野やクライアント層やサービスをすでに行っているコーチもいるかもしれません。あなたが参入するマーケットに競合するコーチがどれくらいいるのか、どんなターゲットに、どんなサービスを提供しているか、をリサーチしてみましょう。
例えば、その分野に強力な競合がいる場合は、ターゲットやサービスの方法を少しずらすなどして、正面衝突を避けることもできます。また、あまりに競合が多く価格競争が起きているようならば、そこに参入するのは得策ではないかもしれません。
また、リサーチの結果全くライバルが見つからないこともあるかもしれません。その場合は、大きなチャンスなのか、それともニーズがないのか、慎重な見極めが必要です。
どんな情報発信をしているか、どんなコーチングメニューを提供しているかなど、競合するコーチは情報の宝庫でもあります。大いに参考にさせてもらいましょう。
どんなクライアントに、どんなサービスを提供するかの構想が固まってきたら、実際に商品の設計や価格の設定を行います。
セッション1回あたりの長さや頻度、方法、スタイル、料金体系などを決めて、具体的に自分のコーチングメニューを作ってみましょう。コーチングのメニューは人によって様々なので、一概には言えませんが、コーチの多くはクライアントと30分~60分程度のセッションを対面または電話やSkype等で定期的に行う契約を結びます。
コーチングで成果を出すためには、一定の期間、定期的にセッションを行うことが効果的であると言われており、3か月、6か月といった期間契約を結んだ上でサービスを提供する人が多いようです。他のコーチのメニュー表などを調べて参考にするのも一つの方法です。
価格も、色々なコーチの料金設定を参考にしてみてください。最初から高額の料金をいただくというわけにはいかないかもしれませんが、経験を積みながら徐々に料金を上げていくことを常に視野に入れておきましょう。
自分の商品やサービスが見えてきたら、次はクライアントの獲得です。コーチングビジネスが上手くいくかどうかは、クライアントを獲得できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
そのためには、あなたのサービスに興味を持ちそうな人たち(見込み客)と出会う場や機会をいかに増やしていけるかがとても重要となります。起業した時は、身近なところからセールスを始めて、徐々に範囲を広げていくのが良いでしょう。見込み客リストを作るには、例えば以下のような方法が考えられます。
将来的にはクライアントからの紹介やWebを使ったマーケティング等で、見込み客を増やすための仕組みを構築していくことが安定的なクライアント獲得につながっていきます。
クライアントにとって、この人からコーチングを受けたい、と思うかどうかがコーチを選ぶときの重要なポイントです。つまり、クライアントを獲得するためには、提供しているサービスについて情報提供するのに加え、あなたという人間を好きになってもらうこと、信頼関係を構築してファンになってもらうことも欠かせない要件となります。
等の情報を、様々なメディアやツールで伝えていくことがとても重要となります。
名刺、チラシ、ブログ、SNS、メルマガ、広告等、情報を伝えるためのツールやメディアは数多くあり、必ずしもすべてをやる必要はありませんが、自分のスタイルに合った方法をいくつか選んで積極的に情報発信をしていくことをおすすめします。
ここまで見てきて、コーチングビジネスを立ち上げるためには、やらなければならないことが結構たくさんあるなあと感じた人も多いのではないでしょうか。
実際にビジネスを始めると、日々以下のような活動を行っていくことになります。
◆ 既存のクライアントのためのセッション
◆ 新規クライアント獲得のためのセールス等の活動
◆ マーケティング・情報発信
◆ スキルアップのための学習
また、このほかにも自分がコーチングを受けるための時間や、他のコーチや異業種とのネットワーキングなど、様々な活動が入ってきます。
手当たり次第にあれもこれも手をつけてしまうと、常に作業に追われて早々に燃え尽きてしまうことにもなりかねません。自分が「やること」と「やらないこと」を区別する、作業の優先順位を決める、どの活動にどれくらいの時間を配分するかの目途を立てておく、など全体を俯瞰して計画を立てていってください。
さて、ポジショニングやクライアント獲得のためのポイントが分かったところで、実際にあなたがどのくらいの収入を得られそうか、数字で考えてみましょう。
コーチングビジネスの収入を最も単純に表すと下の式のようになります。
実際は、コーチング料金は月額で設定されていることも多いのですが、ここではイメージしやすいようにセッション単価x回数に分解して考えてみます。
例えば、セッション単価が10,000円で月3回セッションを行うクライアントを10名持っていれば
@10,000x3回x10名 = 300,000円
3つの要素のいずれかが倍になれば収入も倍になり、半分になれば収入も半分になります。
ビジネスが軌道に乗るにしたがって、他の報酬体系(成功報酬型にする、パッケージ商品を作る等)を取ることもできますが、最初はこのような形でスタートしていく人が多いようです。
では、いま現在、あなたが想定しているセッションの単価や回数、獲得できそうなクライアントの数を実際に式に当てはめて計算してみてください。
希望する収入が見込めそうでしょうか?
収入を安定させたり増やしたりして行くためには、上の3つのうちどの要素を、どのような方策で増やしていけばよいでしょうか。
セッション回数やクライアントの人数は、自分の時間が有限である以上、どこかで必ず上限に達します。したがって、突き詰めると、一定以上の収入を得られるかどうかは、セッション料金をいくらに設定できるかにかかっているとも言えます。
最初から高額の料金を設定することは抵抗があるかもしれませんが、ビジネスを安定させていくためには、経験を積んでスキルを磨く、セッションの質を上げるための仕組みづくりをする、付加価値を高める、などにより徐々に料金を上げていくことが必要です。
また、収入を安定させるための方法として、コーチングに関するセミナーを開催する、自分のコーチングに関するコンテンツを販売するなど、コーチングセッション以外にも提供できる商品を持ち、キャッシュポイントを増やして行くことも将来的には検討していくと良いかもしれません。
ここまで、コーチングで起業・独立する際の検討事項を紹介してきましたが、コーチングやビジネスのスキルがあれば上手くいくかと言えば、それだけではありません。
クライアントに選ばれるコーチになるためには、クライアントが「この人にコーチしてもらいたい」と感じるような人間としての魅力が必要です。
この章では、そんな「選ばれるコーチ」になるためのポイントをいくつか紹介します。
クライアントに選ばれるコーチになるためには、まずあなた自身がコーチをつけ、クライアントとして成功しましょう。もし仮に、コーチングを受けて自分自身がクライアントとして成功できないならば、それはコーチングの価値を実感できておらず、クライアントとしての行動も実践できていないということ。あなたがクライアントなら、そういう人にコーチになってもらいたいでしょうか?
自信と説得力を持って良いコーチングをクライアントに提供していくためには、まず自らが実践して成功の体現者となることが必要です。
自己基盤とは、簡単に言うと「生きていくうえでの自分自身の土台」。自分を受け入れ、自信を持って自分らしく生きられているか、自分の環境や健康、人間関係などのライフバランスはどうか、などがその土台の要素となります。自己基盤が整っていると、日々起こる問題にエネルギーを取られたりすることなく、安定して毎日を送ることができます。
コーチはクライアントの人生に深く関わることになる、重大な責任を負う仕事。常に安定した質の高いコーチングを提供するためには自分自身が安定していることが、大前提となります。
自分自身の体調や人間関係がボロボロな人が、クライアントに良いコーチングを提供できるでしょうか?自己基盤を整え、心身ともに常にベストの状態を保っていることも、コーチの大事な仕事の一部なのです。
「コーチ道 入り口あって出口なし」とは、あるマスターコーチの言葉です。コーチングは奥が深く、一度勉強したからそれでOKというものではありません。実践と学びを継続して積み重ね、スキルを磨いていくことが、クライアントをより確実に成果へと導く実力につながっていきます。
さらにクライアントの成果はあなたのコーチとしての実績ともなり、将来的な収入にも結びついていきます。一度資格を取ったからと安心してしまうことなく、定期的にトレーニングを受けてスキルに磨きをかけていきましょう。
プレゼンスとは、あなたの容姿や身に付けている物、姿勢、所作といった外見から、自信、誠実さ、など内側からにじみ出るものまで、すべてをひっくるめた存在感とその影響力を指します。
高いプレゼンスを持つ人は、その存在感で自然とクライアントを惹きつけます。もし、あなたがクライアントだったら、だらしない服装でのっそりと現われた頼りなさそうな人をコーチにつけたいと思うでしょうか?
あなたがコーチしてくれるというだけで、わくわくしてエネルギーが湧いてくる…そんなふうにクライアントに感じさせるようなプレゼンスを作り上げていきましょう。
コーチとクライアントはお互いに信頼し、親密な関係を構築できてこそコーチングが有効に機能します。が、そこは人間同士のこと、セッションを始めてみたら、相性があわない、ということも考えられます。また、コーチングよりもカウンセリングを必要としている、法律や会計などの専門分野のアドバイスが必要である等、あなたが提供できるコーチング以外のサービスが必要な場合もあります。
そんな時には、クライアントが最大の成果を出すことを優先し、クライアントと合意の上で必要なコーチや専門家を紹介することが求められます。必要に応じてクライアントが必要としている専門家を紹介できるよう、同業・異業種でネットワークを作っておくことをおすすめします。お互いに補完したり紹介し合うことで新たなビジネスのチャンスも生まれていきます。
いかがでしたか。コーチング起業の全体像がイメージできたでしょうか。
起業・独立にある程度のリスクが伴うのはコーチングに限ったことではありませんが、必要なポイントを押さえて行動し続ければ、コーチングビジネスを軌道に乗せていくことは難しいことではありません。
もし本気で起業を考えているなら、「20xx年xx月xx日」と目標とする日を決めて、それに向かって準備を進めていきましょう。どんなコーチになりたいかをイメージしながら、あなたの強みを生かしたビジネスプランを考えてみてください。
ブレイクスルー英語コーチ 津田塾大学卒業後、証券会社、PR会社、留学等を経て外資系銀行の広報部にて広報業務全般に従事。東日本大震災をきっかけに、震災復興支援業務に携わるとともにコーチングを学び、現在は【一目置かれる英語を話すための発話・発音コーチング】を提供している。仙台在住。二児の母。コンラボには2016年よりライターとして参画。また、ストレスクリア®コーチとしても活動中。
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