行動がすぐに止まってしまうクライアントを上手くサポートできなくて、困ってしまうことはありませんか?そんな時、もしかしたらクライアントの中で何か「心のブレーキ」が働いているのかもしれません。
前に進むためには、前進する力を大きくすると同時に、行動を妨げているマイナスの力を減らしていくことが有効です。
この記事では、そんな「ブレーキを軽くする」というコーチングの戦術について説明していきます
目次
クライアントが思うように行動できずに苦しんでいるときには、一つの可能性として、「心のブレーキ」が行動を止めてしまっているということが考えられます。
心のブレーキとは、人が自分自身を守るために経験を通して身につけてきた防御機能のようなものです。
ブレーキになるのは、例えばこんなものです。
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恐怖・不安・不明・不足・不備・他社からの評価・自分自身への評価・怠惰・疑心・思い込み・固定概念・先入観・気がかり・妥協、身につけてきた習慣や常識など
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これまで、何か行動を起こした時に、痛い目にあったとか、嫌な思いをした、などの経験を通して、人は自分を守ることを学習してきています。それがあるからこそ、これまで無事に生き伸び、ある程度の成功は収めてきているわけです。
しかし、これまでと違って高い目標を掲げ、そこに向かおうという場合には、これまでとは違った思考や行動が必要となります。
そういう時、恐れや不安が先に立って実際の行動に移すことができなくなってしまったり、これまで上手く行った経験則にこだわりすぎて大きな成功に向けて動き出すことができなくなる…という状況に陥ることがあるのです。
クライアントが目標に向かって進む時には、常に2つの方向の力が働いています。
一つは、前に進もうとする力、やる気や意欲、などです。車に例えれば、アクセルを踏んで、前に進もうとしている状態です。
しかし同時に、もう一つの力、それをとどめようとする力が常に働きます。恐れや不安など、前に進もうとする自分の行動を妨げる心の動き、これがブレーキです。
ブレーキ自体が悪いわけではありません。人は誰でも多かれ少なかれ、何かしらの心のブレーキを持っているのが普通です。問題は、ブレーキが大きすぎる場合です。
前に進もうとする力の方が上回っていれば、クライアントは前に進むことができます。
が、反対に前に進もうとする力よりもブレーキの方が大きいと、クライアントは行動が止まってしまいます。
恐れや不安を抱えたまま前に進もうとするのは、ぎゅっと強くブレーキを踏んだ状態でアクセルを一生懸命踏んでいるようなもの。そんな時は、アクセルをより深く踏み込むよりも、まずブレーキを軽くすることを考える方が簡単だし早道という場合が多いのです。
ここからは、ブレーキを軽くするための具体的な方法について説明していきます。
渦中にあるクライアントは、自分ではなかなか自分の状態を客観的に見ることができなくなっています。そして、自分の中のブレーキにも気が付いていないことが多いものです。
まずは行動を止めているブレーキの存在に気が付くことが第一歩となります。
そのためにコーチは、クライアントの表情や声のトーン、姿勢や言葉遣い、前回からの行動の変化などを注意深く観察することが必要です。
質問やフィードバックによって、何がクライアントのブレーキとなっているのかを明確にしていきます。多くの場合、それが漠然としていればいるほど、恐れや不安が大きくなることが多いものです。ブレーキの正体を明らかにしていくことで、むしろ恐れや不安は小さくなっていきます。
ブレーキを明確にする際に有効な質問やフィードバックの言葉には、例えば以下のようなものがあります
「期待したほど上手く行かなかった原因は何でしょう?」
「現状を作り出しているあなたの要因は何でしょう?」
「何がその結果を作り出したのでしょうね」
「どんな考え方がその結果を作ったと思いますか?」
「あなたの何が成功の邪魔をしていると思う?」
「精神的な要因があるとしたら何だと思いますか?」
「ここで最も重要なことは何ですか」
「実際、何が起きますか?」
「何かを恐れているように見えます」
「評価されることをすごく気にしているように感じます」
「『〇〇しなければならない』といいましたが、それは本当ですか?」
「それは事実ですか?それとも解釈ですか?」
時として、十分な情報を持っていないこともブレーキの原因になることがあります。どんな情報があれば行動につながっていくのか、などを具体的にしていくこともブレーキを軽くするうえでは有効な方法です。
心の中に気がかりや妥協があると、エネルギーが分散してしまい、ゴール達成に向けた行動に集中することができなくなってしまいます。そういう場合は、気がかりや妥協を減らすためのコーチングセッションを行うことが有効となります。
心のブレーキには、存在に気づくだけで軽くなり、解決してしまうようなものもありますが、その一方で、根深くそこにあり続けるようなものもあります。
長い間持ち続けてきた信念などがブレーキになっている場合は、表面的に扱うことは、かえって逆効果かもしれません。
かといって、そういう思いを否定したり見ないふりをしてしまうと、余計に苦しくなったり、同じパターンが繰り返し起こってしまう事になります。
そういう時は、そこにブレーキとなる何かがあるということを認めた上で、どのように取り扱っていくかをクライアントと話し合ってください。時間をかけて丁寧に掘り下げていくことが必要です。
いかがでしたか。行動が止まってしまった時には、アクセルを踏んで前に進もうとする力を大きくするほかに、行動を止めてしまっているブレーキを軽くするというアプローチがあることがお分かりいただけたと思います。クライアントの行動が止まってしまった時のコーチングセッションの際には、「心のブレーキ」がかかっていないか、という視点を持ってクライアントを観察してみてください。
ブレイクスルー英語コーチ 津田塾大学卒業後、証券会社、PR会社、留学等を経て外資系銀行の広報部にて広報業務全般に従事。東日本大震災をきっかけに、震災復興支援業務に携わるとともにコーチングを学び、現在は【一目置かれる英語を話すための発話・発音コーチング】を提供している。仙台在住。二児の母。コンラボには2016年よりライターとして参画。また、ストレスクリア®コーチとしても活動中。
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