コーチングにおいて、避けては通れないのがクライアントとのラポール形成(信頼関係構築)です。コーチとクライアントの間にラポールが築けていなければコーチングの質は落ちてしまい、せっかくのコーチングが無意味なものになってしまいます。ですが、初対面のクライアントや、コミュニケーションが苦手なクライアントとラポールを築くまでには時間がかかってしまうものです。
そんな時、相手の警戒心を解き、信頼関係を築きやすくする「ミラーリング」が有効です。
この記事では、ミラーリングの具体的な効果やポイント、やり方をお伝えしていきます。
ミラーリングとは、NLP(神経言語プログラム)におけるテクニックの一つで、クライアントの姿勢や呼吸、表情、身振り手振りに自分も合わせるスキルです。人は自分と似た存在だと認識すると、無意識的に警戒心が薄れ、相手に対して好感を抱くようになります。
例えば、クライアントが腕を組めばコーチ自身も腕を組む。飲み物を飲めば、こちらも飲み物を飲むといったように、動作を合わせることでクライアントとの間にラポールを築いていきます。鏡をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。
実際にミラーリングをしてみると、コーチ、クライアント双方が話しやすい空気や雰囲気を作り出すことができます。その結果クライアントとのラポールが築きやすくなります。
ミラーリングはクライアントの身振り手振りなどの動作に合わせることでラポールを築きやすくするためのスキルですが、そもそもなぜ動作を合わせることでラポールが築きやすくなるのか?
それは、文頭でも書きましたが、人は自分と似たような存在に対して無意識的に好感を抱く傾向があります。その結果クライアントとの間にラポールを築くことができます。
極端な話ですがもし、あなたが笑顔で話しているのに相手がしかめっ面で話していたらあまり好感は持てませんよね。ですが、相手も同じように笑顔で話してくれたら警戒心もなく心地よく会話ができると思います。他にも自分はしっかり膝に手を置いて話しているのに相手は足を組みながら話していたら警戒心は中々解けないですよね。ミラーリングで得られる好感は無意識の中でのことなので、クライアントに無意識的に警戒されてしまっては今後のコーチングに支障が出てしまいます。ですが、逆に好感を抱いてもらうことができればコーチングも円滑に行うことができます。
ですので、相手の身振り手振りに合わせるミラーリングはラポールを築くのに非常に効果的なのです。
また、ミラーリングは難しいことは必要なくコツを掴めば誰でも実践することができるので、コーチングを行う上で非常に多くの場面で使われています。
ミラーリングは、クライアントの身振り手振りに合わせることが重要ですが、それだけなく呼吸やリズムといった細かいことにまで注意して行う必要があります。そうすることで、よりクライアントとのラポールが築きやすくなります。また、ミラーリングはやり方さえ知ってしまえば誰でも実践する事ができるので、やり方を理解して是非実践してみて下さい。では、説明してきます。
・クライアントの身振り手振りに合わせる
こちらは、そのままの意味でクライアントの「動き」に自分も合わせるといった事です。ミラーリングの中でも一番多く使われている方法です。それで、この記事の初めでもお伝えしましたが、「クライアントが腕を組んだら自分も腕を組む」、「水を飲んだら自分も水を飲む」といったようにクライアントの1つ1つの動きに対して自分の動きも合わせていきます。そうすることで、クライアントに「自分と似ている」と無意識的に感じさせることができます
他にも瞬き、手の位置、姿勢、頷き、口や髪を触るといった相手の癖など様々なことに注目してクライアントの動きに合わせましょう。
・クライアントの呼吸・リズムに合わせる
クライアントとコーチの間に一体感を生むためにはこの呼吸・リズムに合わせることが非常に重要になってきます。
まず、呼吸を合わせるには、クライアントの肩や胸、腹部あたりに注目します。そして、肩の上下の動きや腹部の膨らみ凹みを観察し、それに自分も合わせることでクライアントの呼吸に合わせることができます。
リズムを合わせるには、クライアントの話すスピードや声の高低などに合わせましょう。そうすることで、お互い心地よく会話ができてクライアントとコーチの会話に一体感が生まれます。自分の話すスピードがゆっくりなのに対して相手の話すスピードが速かったら落ち着いて会話ができず一体感が生まれませんからね。
なので、呼吸やリズムに合わせることでラポールが築けてコーチングを円滑に行うことができます。
ここまでは、ミラーリングのやり方について説明してきましたが、特に難しいことはなくやり方さえ知ってしまえば誰で簡単に実践できることがお分かり頂けたかと思います。ですが、ミラーリングは誰にでもできるからこそ失敗してしまう事も多くあります。そこで、次の章ではミラーリングを失敗させないためのコツをご紹介していきます
・ミラーリングのしすぎはNG
ミラーリングはクライアントの動きになどに合わせるスキルですが、ただ同じ動きをしてずっと合わせていれば良いという訳ではありません。むしろミラーリングのしすぎは逆効果になってしまします。
ミラーリングは、クライアントに無意識的に共通点を認識させる程度のスキルなので、ミラーリングをやりすぎてしまうと、「ずっと動きを真似されて馬鹿にされている」とクライアントは感じ取ってしまします。ミラーリングは、動きを合わせているのが気づかれないようにさりげなく行うのがポイントです。特に身振り手振りに関しては合わせていると気づかれやすいので、5~7回に1回合わせるといったように工夫してミラーリングを行ってみて下さい。
・ミラーリングに注意が行き過ぎないようにする
ミラーリングを行おうとすると、どうしてもクライアントを観察することに意識が行ってしまいがちです。これでは、本来するべきはずのコーチングがおろそかになってしまいます。あくまでもミラーリングはコーチングを円滑に進めるための1つのスキルにすぎません。メインはコーチングなのです。なので、コーチングに支障がない程度でミラーリングを行うようにしましょう。
また、あまりクライアントを観察しすぎると「じろじろ見られている」「色々なところを見ていて、話しをちゃんと聴いてもらえていない」とクライアントは感じ取ってしまい不快にさせてしまう可能性があるので、適度にクライアントを観察してミラーリングを行ってください。
「クライアントと初対面の時」
「クライアントが緊張している時」
「クライアントとのコミュニケーションがうまく取れない時」
「クライアントとの会話に一体感を持たせたい時」
「自分のことを信頼してもらいたい時」
いかがでしたか
ミラーリングはやり方とコツさえ掴んでしまえば誰でも簡単に実践できることがお分かり頂けたかと思います。
初対面のクライアントやコミュニケーションが苦手なクライアントとはラポールを築くことは難しいですが、ミラーリングを行うことでラポールは築きやすくなるので、ポイントを押さえて積極的にミラーリングを実践してみて下さい。そして、より効果的なコーチングを目指しましょう。
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