あなたは、「アクノリッジ」というコーチングスキルについてどれくらいご存知ですか?
実は、コーチングには100以上ものスキルがあると言われています。その中の一つがアクノリッジ(承認)です。
コーチングで結果を出すためには、クライアント自身が行動することが必須条件です。ですが、クライアントがなかなか行動してくれず、頭を悩ますコーチが多くいます。そこで、クライアントの行動を促すのに効果的なのが、「アクノリッジ」のスキルです。
クライアントは承認されることで、モチベーションが上がり、どんどん行動してくれるようになってきます。
この記事では、アクノリッジのスキルをより効果的に行えるように、アクノリッジについて詳しく紹介し、具体的にどんな時、どんな場面で使えば効果的なのか?について詳しくお伝えします。
目次
アクノリッジとはコーチングスキルの1つで「アクノリッジメント」とも言います。「承認」という意味で、コーチがクライアントを、認める、褒めるというスキルとして使われています。クライアントに対して「大切に思っている」「認めている」等を伝えるすべての行為、言葉がアクノリッジです。
アクノリッジの意味を理解したところで、続いて目的についてみていきましょう。
コーチングでは、クライアントが行動し続けることが非常に重要です。ですが、「クライアントがなかなか行動しない」、「行動が続かない」、といった悩みを抱えているコーチが多くいます。そんなときに、クライアントのモチベーションを高めて行動を促進するのがアクノリッジです。
アクノリッジをすることで、クライアントはモチベーションが上がり、その結果継続して行動できるようになります。
では、なぜアクノリッジをすることでクライアントはモチベーションが上がるのでしょうか?
人には、他者から認められたい!尊敬されたい!という「承認欲求」が存在しています。この承認欲求が満たされると人は、モチベーションが上がったり、嬉しい、安心する、などといったプラスの感情が働きます。
誰でも自分の頑張っていること、努力していること(仕事や勉強、趣味)が認められたり、褒められたりしたら嬉しいですよね。
クライアントが行動して出た結果・事実をコーチが承認することでクライアントのモチベーションを上げることができます。その結果としてクライアントの行動が促進されます。
アクノリッジは、ただクライアントを認めたり褒めたりするだけでは大きな効果が得られません。この章では、アクノリッジの効果をより発揮するために、効果的なアクノリッジのやり方を、具体例を交えて紹介していきます。
アクノリッジの大前提として、クライアントのことを「○○くん」、「○○さん」といったように名前で呼ぶようにしましょう。実はこれも重要なアクノリッジのスキルです。名前で呼ぶことで、それだけでクライアントの存在を認めていることになるんです。
コーチングではコーチとクライアントとの信頼関係が重要ですが、「君」、「あなた」のような呼び方ではクライアントとの信頼関係も築けません。実際に、
・「○○さん、頑張ったね」
・「君、頑張ったね」
この二つならば名前で呼ばれたほうが嬉しいですよね。後者はなんだか他人行儀でクライアントがコーチとの間に距離感を感じてしまいます。なので、クライアントのことは「○○さん」といったように名前で呼ぶようにしましょう。
アクノリッジではクライアントが行動して得た成果・成長を率直に認めてあげることが重要です。否定から入るのはNGです。
クライアント自信が気が付いていないような小さな成果・成長も見逃さずに率直に伝え、承認することでクライアントに「もっと頑張ろう」という気持ちが生まれます。
【具体例】
・「最近とても頑張ってるね」
・「以前より問題解決が早くなったね」
・「話し方が分かりやすくなったね」
・「クライアントが取れたんだね!おめでとう」
といったようにクライアントの成果・成長を認める・褒めることでクライアントのモチベーションを上げることができます。
Iメッセージとは、相手の行為や存在が、自分に対してどのような影響を与えているのかを言葉にして伝えるものです。自分が相手にどんな影響を与えているのかを伝えてくれるIメッセージは受け手側の心に残ると言われています。
クライアントの成果・成長を受けてコーチ自身がどう思っているのかをアクノリッジを加えて伝えることでクライアントのモチベーションを高めることに繋げることができます。これだけではイメージしにくいと思うので具体例をみていきましょう。
【具体例】
・「○○さんが頑張っているから、私もすごくやりがいがある!」
・「○○くんを見ていると私も刺激を受けて自分も頑張ろうと思える」
・「○○さんの作業が早いから私もすごくスムーズに仕事ができる」
このようにクライアントの成果・成長に対してコーチ自身が感じたことをIメッセージで伝えることでクライアントのモチベーションを高める効果があります。
アクノリッジは、クライアントのモチベーションUPに繋がりますが、クライアントのやることすべてに承認していては意味がありません。また、言葉で認めるだけがアクノリッジの全てではありません。ここでは、アクノリッジの効果を最大限に発揮してもらうためのコツをお伝えします。
・行動でもアクノリッジする
コーチとクライアントの関係性の中では、コーチの行動すべてがクライアントへのアクノリッジであるといっても過言ではありません。例えば、クライアントへのレスポンスなども、コーチからのアクノリッジになります。
クライアントからメールなどの連絡が来ていた場合、クイックレスポンスであるほどクライアントに「自分のことを見てくれている」とコーチからのアクノリッジを伝えることができます。
・アクノリッジしすぎない
クライアントのやること全てをアクノリッジしていては効果が薄れてしまいますし、クライアントから「なんでも褒めるコーチなんだ」と思われてしまいます。クライアントが課題解決をしたときなど、ここぞという時にだけアクノリッジを行うなど、アクノリッジをする事柄やタイミングを決めることが重要です。
・クライアントに合ったアクノリッジを選ぶ
人にはコミュニケーションのタイプがそれぞれあり、その人に合ったコミュニケーションをすることで会話がスムーズに進みます。アクノリッジをする際にもクライアントに合ったコミュニケーションをすることが必要です。例えば、
「課題解決をした結果をアクノリッジされたい人」
「課題解決までの過程をアクノリッジされたい人」
この2タイプの人がいたらアクノリッジの仕方もコミュニケーションも変わりますよね。前者なら課題解決までの過程の話をアクノリッジされてもそこまで効果はありません。むしろ退屈に思われてしまうかもしれません。ですが、後者なら過程の話をアクノリッジされるとを好みます。
このようにクライアントのタイプによって効果的なアクノリッジの仕方を選ぶことが重要です。
コミュニケーションのタイプについてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてください。
→コーチング式タイプ分け診断とは?
・「承認する」と「褒める」は、使い分けが重要
褒められることは基本的には嬉しいことですが、褒め言葉を受け取りづらい人や、褒める=「何かウラがあるのでは?」と深読みされることもあります。そういった時には事実を伝える「承認」がとても効果的です。承認は事実なのでクライアントも受け取りやすく、褒められたのと同じ効果を与えることができます。
アクノリッジは、コーチとクライアントの関係性の構築や、クライアントのモチベーションアップの際にとても効果的なコーチングスキルです。
初心者でも使いやすいスキルなので、もし、クライアントがなかなかやる気を出してくれない時には、アクノリッジを試してみて下さい。
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