人は、自分の目で見たことや、感じたことだけで物事を判断しています。
自分の人生なので、当然自分が主役、「自分というフィルター」を通じて物事を見ることは当然なこと・・・ですが、上の画像のように、「全く同じ1つのもの」を見ていても、見方によっては違って見えることは結構あるものです。
自分の視点だけで見るとそう感じるかもしれませんが、他の視点で見るとまた違った見え方があり、そこで何かに気づくかもしれません。クライアントが、先入観・思い込み・過去の習慣などに囚われて視点が凝り固まっていると、行き詰まりを感じたり、アイディアが出づらかったり、行動の際にブレーキが掛かってしまったりします。
クライアントの視点が固まっているなと感じたときには、コーチは、敢えて違う視点で見ることを促してみましょう。
新たな視点から現状を見つめ直したとき、違った見え方があることに気づき、行き詰まりの突破口になることは、コーチングではよく起こります。
この記事では、クライアントの視点を変えてゴールに向けての行動を加速させる、コーチングのアプローチ方法をお伝えしていきます。
目次
視点を変えることで、同じ出来事でも違って感じる事ができます。
これまで「辛い・・・」と思って行動が面倒に感じていたことを、「楽しい!」「誰かの役に立っている!」と捉え直すことが出来たとします。行動のスピードは当然上がりますし、行動量が増えるので、成果も上がっていくでしょう。
視点を変えて、捉え方を変えるだけで、結果は変わるのです。
視点を変える例として、「雨が降ってきた」という出来事で考えてみましょう。
あなたがもし、通勤途中の会社員で傘を持っていなければ、「雨が降ってきたなんてツイてない」と考えることでしょう。
デートの待ち合わせ中だったら、「せっかくオシャレしてきたのに」とか「何も今日降らなくても」とか、ネガティブに考えるかもしれません。
しかし一方、農場を経営していて、30日雨が降っていないときであれば・・・、同じようにネガティブには考えないはずです。「恵みの雨だ」「やっと降ってくれた」そんな風な言葉が浮かんでくるでしょう。
また、赤い傘や長靴を買ってもらったばかりの小学校1年生の子供だったら、「買ってもらった傘と靴を使えるー!」と喜ぶことでしょう。
「雨が降ってきた」という紛れもない事実に対してさえ、人は自分というフィルターを通じて、様々に感じるものなのです。
「雨が降ってきて嫌だ」と言う人に、「他の人から見ると、この雨ってどんな風に感じられる?」と問いかければ、「ああ、雨って「嫌」だけじゃないよな」と感じることが出来ます。
この捉え直しが出来れば、行動をどんどん加速していけるのです。
クライアントが物事の一面しか見れていないときには、先ほどの例と同じような、視点を変えるアプローチが有効です。視点を変えるのは、残念ながら自分ひとりでは簡単には出来ず、客観的な目が必要なのです。
クライアントは、これまでの経験や習慣をもとに考えます。例えば、「見込み客を集めたいから、SNSで情報発信したい!」と思う一方で、「これまでの友達からどう見られるだろう・・・」と、必要以上に怖がってしまうというケースがあります。怖がりすぎたり、遠慮しすぎたりすると行動にブレーキがかかり、スピードが遅くなってしまいます。そういうブレーキを外してあげるのがコーチの役割でもあるのです。
我々は、これまでの人生の中で、知らず知らずのうちに多くのことに囚われています。常識、価値観、習慣、思い込み・・・それらは「悪」ではなく、「これまでの人生で上手くいってきた成功体験」に基づいた、とても大事なことです。しかしその一方で、「新たなことにチャレンジしたい」と思う、自分の行動を制限するブレーキとして働いてしまうこともあるのです。
特にビジネスや人間関係では、「絶対に正しい唯一無二の方法」はありません。様々な手段があり、様々な正解があります。そこにたどり着くまでには、数々の試行錯誤が必要なのです。ですから、「過去の成功体験の囚われ」から開放されて、今までやってこなかったことを試すことで、結果につながることがあるのです。
また、クライアントは、自分自身のゴール達成を目指して、日々様々なことを考えて行動しています。目の前のことにあまりに夢中にのめり込むと、周りのことが見えなくなってしまうもの。そんなとき、一歩引いた状態で自分のことを観察することで、また違ったものの見方ができます。広い視野で自分を客観的に捉えることで新たな気づきを得て、次の自分の行動へと変えていくことが出来るのです。
優秀なコーチは、クライアントの状態を観察して、必要に応じて視点を変える質問を投げかけます。あらゆる視点で考えさせるよう、フォーカスを変える役割も担っているのです。
クライアントの視点を変えるために必要なことはみっつです。
ひとつめは、クライアントの話の中で、事実と主観を切り分けて聴くことです。多くのクライアントは、その両方を一緒くたにして話していますが、「一緒くたに話している」ことに気づいていません。頭の中がごちゃごちゃしている状態で、一生懸命考えようとしていることが多いのです。
コーチは、必要に応じてその「ごちゃごちゃになっている」事実をフィードバックしたり、事実なのか主観なのかを切り分けて考えさせるような質問をしていきます。そのためには、コーチはクライアントの話をよく聴くことが求められます。
ふたつめは、コーチは自由に発想できるような柔軟さを持ち、クライアントに接することです。もっと言えば、クライアントのテーマに関わりそうなものの考え方のパターン、フレームワークを頭の中に多く持っておくことです。
コーチの持つ「フレームワーク」をクライアントに提示し、それに当てはめて考えさせれば、「ごちゃごちゃ」をスッキリと整理することが出来ます。整理されれば、どこに問題があるのかが、クライアント自身がひと目で分かるようになるのです。
みっつめは、視点を変えるための質問を持っておくことです。優秀なコーチは、その場で質問を考えません。コーチングを進めていくうちに、「クライアントが行き詰まる」ことは当然、想定されます。そして、「視点を変える」戦略が有効であることも想定されるのは当然のことです。
「視点を変える」ときに効果的な質問を予め考え、準備しておけば、セッションをより効果的にすることが出来ます。
視点を変える質問の一例は、本記事の最後にご紹介しますので、ご活用ください。
コーチから見て、クライアントが「視点が凝り固まっている」と感じたときには、順を追って頭を整理させてあげましょう。間違っても「凝り固まってますよ!」「ごちゃごちゃですよ!」とは言ってはいけません。
最初は、客観的な事実としてクライアントにIメッセージで伝えましょう。
・・・といった具合ですね。
自分以外の視点で見るように、質問を使って促します。
など、他の人から客観的に見るように伝えるのが効果的。
質問への答えが出てきたら、「それは何故ですか?」と、客観的にそのように見える理由を言語化させてあげましょう。理由がわかれば、行動に変化を起こしやすくなります。
理由まで言ったら、もう一度、クライアント自身の視点に立ち戻って確認しましょう。
改めて見つめ直すことで、「大したことなかったな」「考えすぎていたな」と、肩の力が抜けて行動する気が湧いてきたり、捉われていたものの正体が分かって建設的に対応方法を考えられるようになったりと、次の行動へのきっかけとなる気づきがあったりするものです。
コーチの最大の仕事は、クライアントに行動させて成果を出させることです。
クライアントは、自分のゴールにフォーカスしすぎていると、視点がどんどん凝り固まっていきます。コーチは、それに巻き込まれることなく、他の視点から観察させて行動につなげていきます。
クライアントには、無限の可能性があります。行き詰まっているように見えても、視点を変えて選択肢を増やせば必ず打開策は見つかります。それを信じて、クライアント自身に様々な視点を持たせてあげましょう。
マーケティングコーチ
千葉大学工学部卒業後、IT企業にて10年間、商社向けの基幹システムの運用/保守・改善業務に携わる。
2012年にコーチングを学び始め、2014年よりコーチとしての活動を開始、2017年に独立し、個人事業主・起業家の売上UP・web集客などを支援する。
コンラボには2016年よりライターとして、2018年より社内コーチとして参画。
著書に「習慣化を成功させる本」「自分と可能性を育てるチャレンジの習慣」がある。
趣味の将棋はアマ三段&将棋普及指導員。
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