コーチングにおける「承認のスキル」には、部下の良いところを把握するインプット能力と、それを言葉や態度で伝えるアウトプット能力の2つが含まれます。簡単に言うと、良いところを認め、それを上手な言葉で褒める、ということです。
ですがこの「褒める」という行為は、一筋縄ではいきません。グルメレポーターが「美味しい」とばかり言っていても料理の味が具体的に想像できないように、上司も「いいね」ばかり言っていては意味がなくなってしまうのです。
上司という立場にある人は、多彩なほめ言葉のレパートリーを持ち、それを状況に応じて使い分ける必要があります。ただしほめ言葉だけ言っておけばいいというわけではありません。褒める際には「事実」を「タイミング良く」「本心」で「相手に合わせて」伝えることが不可欠です。
例えば「先月出してもらった資料は上手にできていたね」と褒めたとしても、部下はピンときません。出してもらった時点で褒めておくべきでした。このようにタイミングを逸することなく伝えると、相手の心にほめ言葉が響きます。
また、本心から褒めていないと、なかなか相手の心には響きません。本気で褒めているかどうかは、声のニュアンスや顔の表情にも現れます。対人コミュニケーションで、相手に与える影響の9割以上は非言語のメッセージによるというデータもあります。どんなほめ言葉を使うかも大切ですが、声の響きや表情、態度にも気をつけてください。無理に褒めるくらいなら、褒めないほうが良いでしょう。
そして、人はそれぞれ褒められて嬉しいポイントが異なります。Aさんは知識の量を褒められると嬉しいですが、Bさんは知識の量を褒められると「頭でっかちだ」とバカにされているように感じる…などと、いろいろなパターンがあります。
これを見極めるためには、普段から部下をよく観察し、適度なコミュニケーションをとっておくことが何よりも大切です。褒めることが日常的になれば、どの言葉が一番その人にヒットするかもわかってくるはずです。
とはいえ、日本の企業風土からすると「褒め慣れていない」「職場の雰囲気が褒める雰囲気ではない」と思ってしまう上司もたくさんいると思います。確かにこれまで部下を褒める習慣のなかった方にとっては、違和感があるでしょう。
しかし褒め上手になるためには「場数を踏む」ことが不可欠です。最初は部下も驚くかもしれませんが、褒められることは決して嫌なことではありません。続けているうちに、職場の雰囲気も良くなっていくでしょう。ぜひ勇気を出して、今日から部下の良いところを褒めてあげてください。
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