部下のことをどのくらい観察・把握できているかを知るためには、「プラスリスト」の記入をおすすめします。プラスリストは、縦軸に部下の名前、横軸に「長所・特長・持ち味」「最近の具体的な進歩・成長」という項目を設けた表です。この表を、簡単に埋めてみてください。
このプラスリストは、企業の管理職研修でも導入されている手法です。実際に管理職についている方にこの表を埋めてもらうと、その多くが「短所は思いつくが、長所はなかなか書けなかった」という感想を挙げました。
管理職という立場にある「仕事のできる上司」からすると、どうしても部下の欠点ばかりが目についてしまうことは仕方のないことです。そんな自分の姿勢を認め、部下の強みや長所を探すように部下と接することを心がけましょう。これを「美点凝視」と言います。
特に営業成績などのわかりやすい指標ではなく、補佐的な仕事に注視してみると良いかもしれません。営業成績が良いことは当然評価されるべきことですが、その成績の陰には営業補佐や業務をサポートした同僚がいたかもしれません。こういった細かいプロセスにまで目を配ることが大切です。
また、一見短所に見える部下の属性も、見方を変えれば長所になることもあります。「仕事が遅い」という短所は「ひとつひとつの仕事が丁寧だ」という長所に変換できるかもしれませんし、「すぐ感情的になってしまう」という短所は「人一倍仕事に熱心だ」という長所に変換できるかもしれません。短所しか書けなかった人は、自分の捉え方を変えてみましょう。
そもそも日ごろから良好なコミュニケーションが築けていれば、プラスリストの記入は簡単です。多くの管理職の方は、プラスリストを埋める際にすぐに項目を埋められる部下と、何を書いたら良いかわからない部下の2パターンがあることに気付いていました。
何を書いたら良いかわからない部下というのは、そのまま「よく知らない」ということです。コミュニケーションの量を増やして、相手の持ち味や強みを理解する努力をしなければいけません。
とは言っても相手のことを良く知らない状態では、どのようにコミュニケーションをとればいいかわからないかと思います。そんなときは以前に述べた「ヒーロー・インタビユー」という手法を使ってみてください。これはコミュニケーションの第一歩として格好のきっかけになってくれます。
なお、管理職の方からは「最近の具体的な進歩・成長」が書きづらいという感想も挙がっていました。これは部下個別の通過目標の設定が曖味なことが理由です。本来であれば定期的に一対一のミーテイングを行い、それぞれに合った目標を設定しておくべきでした。
もし「最近の具体的な進歩・成長」が書きづらかったら、表の中に一人ひとりの「能力開発の通過目標」という項目を追加してみてください。そして一対一のコーチング・セッションを行いましょう。
ただしコーチング・セッションでは、「君は来月からこうしなさい」と一方的に命令しないよう注意してください。プラスリストを埋めることが目的になってしまっては本末転倒です。質問のスキルを駆使して「君が活躍するためには、どんな目標を立てたら良いだろうか?」と問いかけてみてください。
コーチングラボの編集部は、コーチになりたい方を応援するための立ち上がりました!
上司は部下を、コーチはクライアントを、それぞれ褒めることにより人間関係を強固なものとし、そこに信頼を生み出す効果も期待で...
最近、日本でも「目標管理制度」を導入している企業が増えました。とはいえ、きちんとその制度が機能している企業は少ないのが実...
部下を成長させるためには、「褒める」だけではいけません。ただ何でもかんでも褒めてばかりいては、部下は「今のままで十分なの...