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  • さまざまな効果をもたらすヒーロー・インタビュー

    2018/10/07
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    コーチングに大切な「質問」のひとつの手法に、「ヒーロー・インタビュー」というものがあります。みなさんも「ヒーロー・インタビュー」という言葉自体は耳にしたことがあるでしょう。プロ野球の試合終了後に、その試合で最も活躍した選手をお立ち台に呼んで行うインタビューです。これを部下と上司の関係で応用するのです。

    とは言っても、もちろんスポーツの結果についてインタビューするわけではありません。部下と上司の関係においては、「仕事で頑張ったこと」「一番充実していた時のこと」「仕事をしていて嬉しかったこと」などの成功体験を聞き出すのです。

    そのポイントは、具体的にその時の情景を話してもらうことです。上司は聞き役に徹し、一見自己満足に思えるような話も否定せず、できるだけ詳しく語ってもらいましょう。部下の言ったことを繰り返したり、適度にあいづちやうなずきを入れたりするとなお良いです。

    たったこれだけのことでも、部下は話しているうちに生き生きとしてくるでしょう。表情も明るくなり、元気が出てきます。それは本人にとって大切な宝物のような体験だからです。その大切な体験を語ることにより、当時の幸せな気持ちがよみがえり、熱い思いが沸き上がってくるのです。

    モチベーションが下がっている部下に対して「やる気を出せ」と命令しても効果はありません。しかしほんの数分間、部下の成功体験に耳を傾けるだけで、やる気を引き出すことができるのです。

    それだけでなく、ヒーロー・インタビューをすると上司と部下の間の心理的距離が近くなるという効果もあります。普段のルーティン・ワークをしていてもなかなか心理的な距離は近くなりませんが、ヒーロー・インタビューで思いを聞くことによって、心と心の通い合うコミュニケーションがとれるようになるのです。ヒーロー・インタビューは、効率的にコミュニケーションを良好にすることができます。

    現状の日本の企業では、上司が部下に昔の成功体験を聞かせることはあっても、上司が部下の成功体験を聞くシーンはあまりないようです。でも、ぜひ実践してみてください。驚くような効果を感じられると思います。

    しかし中には「成功体験はありません」などと答える部下もいるかもしれません。そんな時は時間をおいて、また別の時にヒーロー・インタビューを行なってみてください。誰しも仕事に関して何かしらの思い入れがあるはずです。上司が諦めることなく自然に部下の成功体験を引き出そうとすれば、いつか隠された思いに部下も気づくはずです。

    そもそもコーチングは、「すべての人がヒーローになる可能性を持っている」という考え方が前提です。営業で能力を発揮する人もいれば、まわりのサポートをしてこそ輝ける人もいます。ひとりひとり、ヒーローになれる場所を持っているのです。このひとりひとりの多様性をコーチングで見出すのが、上司の役割です。

    パナソニックを築き上げた松下幸之助氏は、「人間は磨けば光るダイヤモンドの原石のようなもの」という言葉を残しています。部下をただの石ころと見るか、ダイヤモンドの原石と見るかで、社内の空気は大きく変わります。どんな部下にも内に秘められた輝きがあると信じ、磨いていくことが大切です。ちなみに、最も硬い鉱物であるダイヤモンドに磨きをかけることのできる物質は、ダイヤモンドしかありません。つまり、ダイヤモンドの原石を磨く役割は「人」にしかできません。

    中国の古典『大学』に、「切磋琢磨」という言葉があります。これは人と人とが互いに刺激を与え合い、学び合うことで、お互いに実力を高めていくこと。人と人とのかかわりは、相互作用をもたらします。上司が部下に磨きをかけることは、部下が上司を磨くことでもあるのです。

    もしまだ輝いていない、原石の部下がいればそれはありがたいことかもしれません。部下を育てている上司自身も、成長させてくれるのですから。

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