正しいコーチングには、基本的なプロセスが存在しています。それを理解していればコーチ独自のプロセスやプログラムを構築しても構いませんが、正しいコーチングを理解するまでは、以下で説明する10のプロセスをコーチングの一つのまとまりとして考えるべきでしょう。
目次
コーチングを受ける者(部下やクライアントなど)に対して関心を持ち、“関心を持っていること”を彼らに気付かせるような言動を取ります。これにより、お互いに信頼関係が生まれ、心理学でいうところの『ラポール』の状態を構築することに繋がります。
コーチングではコミュニケーションが重要な役割を担いますが、その効果を発揮するために、お互いに関心を持ち合い、相互の間に信頼関係を構築しておくことが欠かせません。
最初の段階として、まずはこれを意識しておく必要があります。
コーチとクライアントの会話は、ソフトな雰囲気から始めるべきでしょう。お互いにリラックスをし、さらに信頼関係を強固なものにするためです。
「最近の調子はどうですか」「プレゼン資料の作成は進んでいますか」といった、質問形式でコミュニケーションのきっかけ作りを行うと、そのあとのステップへと進みやすくなるでしょう。
こうした質問で、クライアントにコーチングを受けるための準備を始めさせます。
上記の質問に対して、クライアントが何らかの返答をしてくるでしょう。それを元に、現在の状況をチェック及び把握してください。
この段階では、あくまでも現状がどうなっているのか、その確認と、クライアントがそれに対してどのような考え方を抱いているのかの把握に徹しましょう。
ポイントは、現状とクライアントの気持ちや考え方を理解することです。状況が思わしくないからといって叱ってしまっては、コーチングが成立しなくなってしまうので注意してください。
多くの場合、クライアントに対してコーチが現状を尋ねると、何かしらの問題や課題が浮き彫りになります。それがどこにあるのか、一体何であるのかを明確にしましょう。それらが分からなければ、何も進みません。
この問題や課題の明確化は慎重に行う必要もあります。明確化したものが的外れなものであれば、その後に行うコーチングも意味を為さないためです。部下やクライアントと密にコミュニケーションを取り、状況や問題を的確に把握していかなければいけません。
もし即座に解決すべき問題がない場合は、課題について話し合いましょう。問題がないのであれば、比較的余裕があるということです。それを持て余している状態では勿体無いので、さらに成長するためにはどうすればいいのかを共に考え、明確化していきます。
問題の解決の先にあるのは、理想の姿であるはずです。具体的な目標や理想像をできるだけ明確にイメージし、それを部下やクライアントと共有します。
具体的であればあるほど、次の行動に出やすくなります。逆にそれが曖昧なままでは、クライアントも何をすればいいのかが明確になってきません。必ず具体的な目標や理想像を思い描き、共通認識として持っておきましょう。
一つ前のステップで掲げた具体的目標や理想像に近づくためには、どのように問題の解決を図っていけばいいのか、その方法を話し合いましょう。
問題や課題を明確化し、その上で目標や理想像もイメージし具体化しておけば、問題解決のための方策も捉えやすくなるはずです。この段階で、クライアントとのコミュニケーションを深め、それを見出しておかなければいけません。
問題や課題を解決するための方策を探ったら、次に、それを具体的なプランとして構築していきます。この計画は『6W2H』を意識すると、比較的理解しやすいものになるはずです。
説明するまでもないかもしれませんが、6W2Hとは、
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・Whom(誰に)
・Why(なぜ)
・What(何を)
・How(どのように)
・How much(いくらで)
を指しています。
現状のチェック&把握から、課題クリアのための計画の作成までのステップを丁寧に確認し、改めてそれが可能かどうか、目標のクリアや問題・課題の解決をもたらす有効な手段となっているのかをチェックしましょう。
また、この計画を遂行することへの意志を持っているか、クライアントの感情や価値観なども確認し、全てをコーチとクライアントで共有します。
部下やクライアントは、問題や課題を解決するための計画を実際に遂行する立場です。そこにはとても大きなモチベーションを必要とします。コーチはそれを促してあげなければいけません。
精神的な後押しもそうですし、第一歩を踏み出すための最初のとっかかりの提示もそうでしょう。計画の遂行は、最初の一歩さえ踏み出せれば、スムーズに進むものです。計画そのものはすでに存在しているわけですから、あとはコーチがエールを送るなりクライアントの気持ちを高揚させるなどしモチベーションを高め、行動へと移させてあげましょう。
ここで言う関係性とは、上司と部下という関係性というよりは、コーチとクライアントという関係性のことです。つまり、計画を遂行する過程で、もし部下に新たな問題が発生すればコーチはいつでも助けになることを、あらかじめ約束することが重要です。
これにより、部下は安心して業務に取り掛かることができるでしょう。後ろには優秀なコーチがいると分かれば、安心して前へと自発的に進んでいくことができるのです。
次に密なコミュニケーションを取るのはいつか、といった具体的に話し合う日時を決めておくことも有効に働きます。それも一つの身近な目標となり、「その日まで結果が出せるように頑張ろう」と、部下のモチベーションを上げることにも繋がるでしょう。
コーチングの基本的なプロセスを10のステップに分けて紹介してきました。こうした順序を守れば、コーチも部下やクライアントと向き合いやすくなり、コーチングそのものに対する迷いもなくすことができるのではないでしょうか。
裏を返せば、これだけのプロセスを踏まなければ、正しいコーチングはできないということでもあります。
独自のコーチングを実践する前に、まずは正しい基本的なコーチングを身につけることをお勧めします。業種や職種などに関係なく活用できるので、早速取り入れながら部下との関係性を築いていきましょう。
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