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  • コーチングを有効化するための環境づくりとは
  • コーチングを有効化するための環境づくりとは

    2018/10/13
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    日本ではしばしば奴隷的に従業員を扱う企業があります。こうした企業は時代錯誤であり、今後、成長を続けることも難しいでしょう。そうではなく、社員一人ひとりが自立をし、自主的に考え行動できる状態や環境を作らなければいけませんが、その状態を「エンパワメント」と表現します。いわゆる能力開花や、それが可能な状態及び環境のことです。また、権限付与と訳されることもあります。

    効果的なコーチングを行うために必要な“ビジョン”や“価値観”の提示

    権限を付与され、自立するための環境を与えられた従業員たちは、自らの考え方や行動により問題の解決を図る必要に迫られます。しかし同時に、各業務を効率化することにも繋がり、もし取引先などがあるケースであれば、自ら考え対応することが可能となるためスピード感が増し、顧客にとっての満足度も上がることが期待できるのです。

    エンパワメントが可能な状態になると、企業で働く人たちは、それぞれのスキルや経験を生かすことが可能となります。自身の裁量に任されるわけですから、時には難しい判断に迫られることもあるでしょう。容易な判断も含めてですが、もしその判断基準に問題があれば、業務やその結果にも悪い影響が出てきてしまうかもしれません。
    そのために必要となるのが、企業やチーム独自の確かな判断基準です。これのない企業やチームは、いくら権限を従業員に与えたとしても正しい判断ができません。自信を持って業務に当たることも難しくなるでしょう。

    その判断基準を形成する要素の一つが“ビジョン”です。大まかに言うと組織の存在や目的がビジョンに該当します。
    そして、“価値観”も判断基準に影響を与えます。目的を達成するため、企業のビジョンに沿うために、その過程で重視すべきは何か、ここを明確にするのが価値観です。
    例えばですが、創造性を尊重する企業において、それが企業としての大きな根幹を為すものとなっているのであれば、そこで働く従業員には当然ながら自由な発想を求めるはずです。トップダウンではなく、アイデアが湧きやすいような環境を作り出すはずで、それこそがその企業の価値観となります。

    それとは別に、顧客の満足度の高さを最重要視する企業であれば、何よりも顧客の利益を優先することに価値を見出すでしょう。

    ビジョンや価値観、あるいは企業やチームの方向性が明確になれば、そこで働く人たちはその幾つかの要素を強く意識しながら、判断や対応をすることができるはずです。ビジョンや価値観が曖昧なままであれば、社員一人ひとりの裁量で物事の判断や対応などできるはずもなく、そんなことをすればトラブルやクレームだらけとなってしまうでしょう。
    組織や部下を束ねる立場にある人間は、そうした点を意識しながら環境を整えていく、言い換えれば、明確なビジョンや価値観を常に提示し続ける必要があるわけです。

    ビジョンや価値観、方向性といったものが定まっているからといって、組織が上手くまとまり、企業が成長していくとは限りません。問題は、実際に従業員たちが、そのビジョンや価値観などを意識し、それに沿った形で仕事をしているか否かにあります。
    もし、上司が企業のビジョンや価値観などに従わず、それから逸脱した形で業務を行っていたらどうでしょうか。部下は上司に対して不信感を持つはずです。その状態で企業やチームがまとまるはずもありません。

    また、コーチングを導入しそれを積極的に活用することで、従業員のやる気や自主性を高めることはできるかもしれませんが、それは従業員一人ひとりが自身で考えることになるため、企業やチームの存在意義、あるいはそこで働くことの意味なども自然と考えるようになるでしょう。
    もし、企業のビジョンと自身の価値観に齟齬があると判断したら、その従業員はどうするでしょうか。もしかしたら企業を辞めるという選択をすることも考えられるはずです。

    しかし、企業のビジョンや価値観と自身の価値観とが一致すれば、その従業員は企業のために、そしてそのビジョンや価値観を実感し、目的を果たすために業務に邁進することになるでしょう。つまり、その企業で働くことこそが自己実現には必要だと判断し、日々の仕事や業務に幸福感すら感じるようになるのです。

    ビジョンや夢がアウトプットできる環境次第で変わるコーチングの成果

    成長する企業の特徴は幾つかありますが、現代においては、やはりそこで働く一人ひとりが明確なビジョンや目標、方向性を持ち、それらが作られる環境、あるいは自由に発信できる企業風土があることが挙げられるのではないでしょうか。
    そうしたビジョンや夢などを従業員がしっかりと抱くためには、主に2つのステップが必要です。

    1つ目のステップは、従業員自身がビジョンや夢を抱いていると自覚することです。
    人の多くは夢や希望を抱いているはずです。それぞれ望むことがあり、幸福といったものをイメージすることもあるでしょう。

    しかし、それを明確なビジョンや目標として自覚することは簡単ではありません。「幸せになりたい」といった曖昧な夢では自覚するのも困難ですし、そもそも「そんな夢のようなことを言っていてもしょうがない」と諦めてしまう人もいるのではないでしょうか。
    日本では、大きな夢を語れば語るほど馬鹿にされてしまう風潮もあります。自他共に否定することに慣れてしまい、そんな夢や希望を抱き、幸福を追い求めることすら意味がないと思ってしまう人が多くいるのです。

    そんな中でも、それを否定されない、あるいは自身で否定しないよう、強く認識しなければいけません。「自分の夢はこれだ!」と常に意識し続けることが求められます。

    2つ目のステップは、そうした夢やビジョン、目標といったものをアウトプットする環境を作ることです。若い従業員に対しては、こうした環境をコーチに当たる上司が作り出し、提供しなければいけません。

    アウトプットの形には様々ありますが、やはり言葉で表現させることが重要です。言葉として表現できれば、それは明確かつ具体的であることの証明となり、少々曖昧だったビジョンや夢もくっきりとした形として捉えることが可能となります。
    「これを叶える!」、「これを手に入れる!」と具体的に言葉にできれば、それを実現するための手段やアイデアも徐々に見えてくるようになるでしょう。

    残念なことに、こうした夢を従業員が語ること、あるいは壮大なビジョンや目標を持つことを否定する企業がしばしば見られます。否定こそせずとも、それを良しとしない企業は少なくないでしょう。もし従業員がそのようなビジョンや夢を抱いてしまえば、場合によってはコントロールするのが難しくなるからです。駒として使えなくなることを恐れ、従業員からそうした思考を奪う経営者や上司も少なくないでしょう。

    しかし、人の能力を開花させるためには、ビジョンや夢は不可欠です。それらがなければ努力もしませんし、工夫もしません。当然、ポテンシャルが発揮されることもないのです。上司がティーチングを行っただけで部下の才能が開花されることはないと心得ておく必要があります。企業が従業員を駒だと思っている以上、その駒は自由に動き回ることもなく、言われなければ動けない駒のまま終わってしまうでしょう。

    それに違和感や不信感を持った従業員は、当然企業から離れていきます。離職率が高くなり、企業として安定しないという負のスパイラルに陥るのです。また、そのような企業から離れるのは、得てして優秀な人材であることも付け加えておきましょう。

    経営者の一部からは、「従業員が明確な夢やビジョンを持った方が、むしろ会社を辞めてしまうのではないか」と心配する声も聞かれます。これは、経営者としてはあまり良くない傾向でしょう。
    もしコーチングを適切に行うことで従業員や部下が明確で具体的な夢やビジョンを持ち、その結果その企業を辞めてしまうのであれば、それはその企業に魅力がなく、経営者自身のビジョンや夢が従業員にとって有益でないということになります。

    「私のビジョンや方向性に間違いはない」と自信を持って言うことができ、本当にそれが従業員にとって魅力的であれば、会社を簡単に辞めるという決断を下す人は必然的に減るはずなのです。
    もし同様の不安を抱えている経営者や上司がいるのであれば、その人自身の持つビジョンを戦略化し、同じ価値観を共有するための環境を作ることに徹するべきでしょう。それが的確に伝われば、心配する必要もなくなるのではないでしょうか。

    もちろん人間ですから、ビジョンや価値観が100%合致するとは限らないでしょう。それでも、その接点を探ることに意味があります。経営者と従業員、上司と部下という立場の違う人間同士がその作業を行うことこそ重要であると認識しておくべきです。
    もし一部でも共通点や接点を見出すことができれば、従業員はそのために汗をかくはずです。自身のビジョンや価値観と企業のそれらが重なり合うわけですから当然でしょう。

    企業は、従業員や部下といった存在に、経営者や組織の都合を押し付けてはいけません。お金を稼ぐための道具、企業のために都合よく動くロボット、あるいは駒という考え方を持っている限りは、コーチングの手法を取り入れても成果は出てこないでしょう。延いては、企業の衰退に繋がってしまう恐れすらあります。

    従業員や部下の意思を無視すればするほど、何も新しいものは生み出せず、時代に乗り遅れて淘汰されていくことは間違いありません。

    コーチングの効果が発揮される企業とは、器量の大きな組織であると言えるのかもしれません。従業員のアウトプットを寛容する環境や空気があるわけですから、そう表現しても差し支えないでしょう。

    ただ、この器量の大きさは、ビジョンや夢の大きさと必ずしも比例するものではないと考えます。そのビジョンや夢といったものへの関わり合いの密度がどれだけ濃いか、あるいは、思い入れがどれだけ強いか、経営者や上司という立場にある人にはそれが問われているのです。

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