実践的な“ユニークセリングプロポジション/USP”の作り方

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もしあなたが、マーケティングの基本的な書籍を読んだことがあるなら、「ユニークセリングプロポジション(以下、USP)」という言葉を耳にした事があるかもしれません。

直訳すれば、

Unique・・・・・・・・ユニーク → 独自
Selling・・・・・・・・・セリング → 売り
Proposition・・・・・・・プロポジション → 提案

です。

このUSPは、お客さんから選ばれる理由にもなります。

なぜなら、30秒くらいの短時間で、あなたが何屋さんをしていて、何が売りで、あなたと付き合う事でどんなメリットがあるかが端的に相手に伝わるものがUSPだからです。

たとえば、あなたが通勤・通学などで家から目的地にいくまでに、日々膨大な数の広告メッセージにさらされているはずです。あなたは、どのくらいの広告を覚えていますか?

おそらく、見向きもされない、意識にも残らない広告が大半ではないでしょうか。あなたの広告が、その「one of them」にならないためにも、ターゲットに対して、強烈なマーケティングメッセージを打ち出す必要があります。

・・・難しそう。と思ったかもしれませんが大丈夫です。実は、お客さんに響くユニークセリングプロポジションを誰でも手軽に作れる実践的な方法がありますので、今回ご紹介したいと思います。

それでは早速みていきましょう。

1. ユニーク・セリング・プロポジション(USP)とは?

強力なUSPがなければ、商品は売れないといっても過言ではないでしょう。

ビジネスをやる上で、絶対に作らねばならないもの、それがUSPです。

まずは、定義をしっかりと抑えておきましょう。

1-1. USPの定義

冒頭でもお伝えしましたが、USPとは、「Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)」の頭文字を取ったもので、

「他にはない、独自の売りの提案」

のことです。

ここで、おそらくこんな疑問を持たれたのではないでしょうか?

==========================
「他にはない、独自の売りの提案」


「他」って? 「独自」って?
「売り」って? 「提案」って?
==========================

どれもこれも抽象的な表現なので、明確に定義をしておきましょう。

■「他」⇒直接競合、直接のライバル、あなたの直接のライバルは誰か?

■「独自」⇒ライバルが持っていないもの・優位性があるもの・優位性を持てるチャンスがあるもの

■「売り」⇒様々な切り口がある

“USPの切り口例”
1. 広い選択肢
2. 大幅なディスカウント
3. 的確なアドバイスや補助
4. 利便性(たとえば、ロケーション、豊富な在庫、配達の早さなど)5. 最高級の製品(サービス)
6. 迅速なサービス
7. 特別な各種サービス
8. 長期的な保証、または広範囲にわたる保証
9. その他、ライバルには提供できない特別な点、有形・無形の利益、価値ある特典など

■「提案」⇒それをメッセージ化し、
あらゆる機会・媒体で発信できるようにすること。

漠然と“強み”を探るのではなく、上記のように「他(直接競合)」を具体的に想定し、USPを考えていくとUSPも創り易くなります。

1-2. なぜ「USP」が必要か?

結論から言うと、USPがないと、ビジネス上の有効な手(戦術)を打てないからです。

マーケティングは、次の3要素から成り立ちます。

(1)誰に:ターゲット
(2)何を:メッセージ(ベネフィット)
(3)どのように:タクティクス(戦術)

ターゲットが変われば、メッセージも変わります。メッセージが決まれば、その戦術も決まってきます。

この3つの要素を考えることが、「マーケティング」と言っても過言ではありません。このマーケティング上の「メッセージ」のコアの部分が、まさに「USP」なのです。

つまり、伝えるメッセージ(USP)が明確でないと、有効な戦術は打てません。

強みもハッキリしないまま、アピールばかりをする(広告ばかりを打つ)、これでは、お金がかかるし、顧客にも選ばれませんよね。

たくさんの競合の中で、いかに選ばれるか。その基準となっているのが「USP」であり、USPの強いもの(人)、USPが明確なもの(人)、が選ばれるのです。

1-3.「USP」と「ポジショニング」の違い

「USP」を「ポジショニング」と混同されてしまうケースが多いので違いをおさえておきましょう。

ポジショニングは簡単にいうと、「ビジネスの方向性や、肩書き、キャッチフレーズを決めるステップ」です。

「USP」と「ポジショニング」それらがイコールの場合もありますが、まずは「ポジショニング」を考える、そして「USP」の議論に入る。これが順序です。

そして、このポジショニングは「絞り込み」が重要になりますが、その際

「大ポジション ⇒ 中ポジション ⇒ 小ポジション」

と徐々に絞り込んでいくのが鉄則です。

例えば、あなたはスポーツトレーナーのような自分商品型のビジネスをされているとします。その場合、

・大ポジション:スポーツトレーナー
・中ポジション:体系維持トレーナー
・小ポジション:アラフォー女性のための“ほっそり脚”専門トレーナー

という風に絞り込んでいきます。

この「小ポジション」の状態で競合がいなければ、ポジショニングがそのままUSPで構いません。逆に、競合がいるようなら(出てきたなら)、USPで更に強い位置づけが必要となってきます。

繰り返しになりますが、まずは「ポジショニング」を考える、そして「USP」の議論に入る。この順序を理解しておけば、「ポジショニング」と「USP」を混同することは無くなるでしょう。

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2. USPをどうマーケティングに活かすのか?(事例)
(USPがどう会社売上げに貢献するのか?)

事例1:ドミノピザ(宣伝広告)

まずは、この有名な「ドミノピザ」の事例をご覧ください。

「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません。」

これがドミノピザのUSPです。

このUSPができた当時、「注文から配達まではかなりの時間がかかる」というのが宅配ピザ業界の常識で、お客さんは冷えたピザを食べさせられていました。
そんな業界の常識を打ち破る強烈なメッセージを打ち出した事で、1960年に、アメリカのミシガン州イプシランティにオープンした「ドミニック」という小さなピザショップが、いまでは、アメリカだけでなく、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界50ヶ国に7,000店以上に拡大しています。

事例2:練り歯磨き粉(宣伝映像)

そして、USPは、必ずしもきっちり文章化されたものでないのも有りです。もう1つ、ある練り歯磨き粉の宣伝映像を例に見てみましょう。

歯磨き粉には、虫歯を予防する特殊な成分を含んでいたのですが、その成分は“目に見えない”。

さて、あなたなら、目に見えないものをどのように映像で際立たせますか?

実際に使われた、宣伝の映像シーンはこうです。

『男性が妻と子供を抱いて立っていると、彼らの10メートルほど後ろで、がっしりした選手がフットボールを蹴る。ボールはスローモーションで近づいてきて、くるくると回転しながらどんどん大きくなる。そして男性の顔を直撃するかに見えたそのとき、見えないガラスの板にぶつかり、跳ね返る。・・・男性が振り返り、依然としてみえないガラスを叩いて言う。「この見えない盾が私と家族を守った様に・・・・」』

この映像シーンには、次のようなUSPが隠されていたのにお気づきになったでしょうか。

「見えない盾が、どんな強烈な攻撃からもあなたを守ります。」

このコマーシャル映像のように、USPを的確に表すものは、売上と収益の面で数百万ドルの価値があるといっても過言ではないでしょう。
では具体的にどうやってUSPを作るのかをみていきましょう。

3. USPをどう作るか?(作り方)

もしかすると、USPを持っている会社なんて、そもそも「格」が違う、そんな簡単にUSPを作れるわけない、と思っていたかもしれません。あるいは、USPを実際に作ろうとして、頭を悩ませていたり、思考停止状態になったことはないでしょうか。

もしそうなら、このシンプルな“3ステップ”に沿えば、あなた(あなたの会社)の実践的にUSPが簡単に作れてしまうので、ぜひ試してみてください。

ステップ1:直接競合リサーチ・・・(「独自」を探す前準備)

まずは、競合についてリサーチしましょう。ここでいう競合は、あなたと同じ商品やサービスを異なるブランドで提供している他社のことです。

次の表を用いて、競合群が提供する商品・サービスのメリットとデメリットを挙げてみましょう。

USP01

ステップ2:他社にはない売りにフォーカスする・・・(独自の売りを発見)

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉にもあるように、まずはステップ1で他社をしっかりリサーチしておきましょう。そしたら、今度はあなた(自社)を知る番です。

ステップ1の表を元に、他社の商品・サービスと見比べて、自社商品がどのような点でメリット・デメリットがあるかを書き出してみましょう。

USP02

このステップで、自社の売りや強みの部分が浮き彫りになってくるはずです。

ステップ3:お客さんにとってのベネフィット(便益)・・・(提案)

ステップ2で自社独自の商品・サービスのメリットが明確になったでしょうか。ここで、メリットとベネフィットという言葉は使い分けて考えるようにしましょう。

「メリット=利点」に対して、「ベネフィット=便益」です。

大きな違いは、お客さん視点を持っているかどうかです。あなたがステップ2で挙げたメリットを、お客さんにとってのベネフィットに変換していきます。

次の2つのルールを適用することで、ベネフィットに変換されます。

ルール1:「だから何なの?」と質問する。
ルール2:「あなたは(二人称)・・・」という出だしにする。

たとえば、

・他社にはない機動的な宅配システム
・既存客からピザが美味しいという評判

といったメリットが挙げられたなら、

・あなたは、弊社自慢のピザをホットでフレッシュなうちにご自宅で召し上がれます。

という風にベネフィットに変換できます。ここまでメッセージが明確になれば、USPはもう出来上がったも同然ですが、次の質問を投げかけて、より消費者に刺さるメッセージにしていきましょう。

その質問は、「売り、提案を、もっと具体的に出来ないか?」です。

抽象的な言葉、曖昧な言葉は避けて、出来る限り具体的な言葉、具体的な数字を入れていきましょう。この質問を投げかけて、ベネフィットをどんどんブラッシュアップしていくことで、次のような強烈なベネフィットを生み出すことが可能になります。

「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません。」

 

・・・いかがだったでしょうか。

USPと聞いて、なんだか難しそう、という先入観を持たれていた方も、このシンプルな3ステップに沿うことで、自分にも手軽に作れそうと実感いただけたのではないでしょうか。

ぜひこの手順で早速あなた(自社)のUSP作りにチャレンジしてみてくださいね!

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北野 哲正

北野 哲正

「コンラボ」運営責任者  株式会社コンサルタントラボラトリー 代表取締役 
コーチ・コンサルタント・セラピスト・士業・整体士などのサロン系ビジネスなどの独立・起業・集客支援を行う。会員制コミュニティ「コンサルタントラボラトリー」は会員数500名を越え、『一般社団法人日本マーケティングコーチ協会』『一般社団法人日本スマートフォンマーケティング協会』は協会員数600名を越える。また、取締役を勤める株式会社リアルネットでは、スマートフォンマーケティング、通販事業(スキンケア商品)を事業展開している。

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