企業のキャッチコピー例:この2つのパターンに分類されるキャッチコピーの作り方。

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企業のキャッチコピーとは、その企業の事業内容や姿勢を一言で言い表すフレーズです。
CMなどで最後に会社のロゴマークとセットで表現される短いワンフレーズ、と言えばイメージがつくかもしれません。

ありきたりの、どこの会社でも言えるようなキャッチコピーではなく、その会社でなければ言えない個性的、且つセンスのある、印象に残るキャッチコピーを作ることができれば、会社のイメージアップや認知度アップに繋がります。

是非、あなたの会社にしか言えない“唯一無二”のキャッチコピーを作っていきましょう。

1.企業のキャッチコピーは大きくは2パターンに大別!

「企業のキャッチコピー」は様々なパターンがありますが、実は、大きく分けると次の2パターンに大別できます。

1.「事業内容」を表現したキャッチコピー

例:Intel Inside/インテル 入ってる(インテル)slogan01

「インテル入ってる」という表現は、ほぼ全てのパソコンにIntel社製のCPUが入っていることを表現しており、インテルの事業内容を端的に伝えています。

 

 

2.「企業姿勢」を表現したキャッチコピー

例:目のつけどころがシャープでしょ(シャープ)slogan02
「シャープ(鋭い)」という言葉と社名を掛けています。シャープは目の付け所が違う、他社と違う斬新さがあるという姿勢を表現しています。

 

 

このほかにも、
・「社名度アップ」に重点を置いた「社名連呼型」のキャッチコピー
例:上から読んでも山本山。下から読んでも山本山。(株式会社山本山)

・主力商品やサービスをそのままキャッチコピーにしたもの
例:クロネコヤマトの宅急便 (ヤマト運輸)slogan03

 

 

・・・といったパターンもありますが、大別すると「事業内容型」と「企業姿勢型」になります。もちろん、「事業内容」と「企業姿勢」の両方を表現したキャッチコピーも多いです。ただ、敢えて分けることで、企業のキャッチコピーの作り方が分かりやすくなります。

企業のキャッチコピーを作る際は、「この2つのパターンがある」ということを知っておけば、それだけでもかなり考えやすくなるはずです。事業内容型でまずアイディアを出し、次に企業姿勢型でもアイディアを出す。そして、絞り込んでいく・・・この作業を通して、企業のキャッチコピーを作っていきます。

【COLUMN】

私の中で非常に印象に残っている2つの企業キャッチコピーがあります。その対比ぶりが際立っているので、ご紹介しておきます。

slogan04

IBM:e-business
Apple:think different

IBMは90年代前半、パーソナルコンピュータの出現と普及により、IT業界の主役の座から引きづり下ろされようとしていました。1995年、当時のCEOルイスガードナーは「PCから次はネットワークコンピューティングの時代が来る!」と明言し、ネットワーク中心の「e-business」への事業転換を図りました。

大々的な広告キャンペーンも展開し、そこから6年間でIBMは1994年の640億ドルから2000年までには880億ドル以上に成長し、純利益は3倍に・・・。

「e-business」という事業内容・事業領域を掲げ、市場へアピールしたIBM。それは、社内に向けても大きな指針となりました。「e-business」は、本当に強力な「事業内容型」のキャッチコピーだと思います。

一方、Appleが1997年に展開した広告キャンペーンのスローガンが「think different」でした。1度はAppleを追放されたスティーブ・ジョブスがCEOに復帰。Appleの企業姿勢である「世界を変える」という企業姿勢を強烈にアピールしました。

「クレイジーな人々(世界を変えようとした人たち)」が登場するCMは大反響を呼び、
その後のiMacやiPodに繋がる流れが生まれ、Apple完全復活し、時価総額で世界Topクラスの企業へと復活しました。

「think different」は、「固定概念をなくして新たな発想で世の中にないもの」を生み出すというAppleの姿勢が体現された素晴らしいキャッチコピーだと思います。

同じ時期に、IT業界の両雄が、「事業内容型」と「企業姿勢型」の対となるキャッチコピーを引っさげて復活を果たしたのは、何とも興味深いドラマだと思うのですが、いかがでしょうか?

2.企業のキャッチコピー例

2−1. 「事業内容」を表現した企業キャッチコピー例

■Intel Inside/インテル 入ってる(インテル)
「インテル入ってる」という表現は、Intel社製のCPUが(パソコン等)に入っていることを意味しており、事業内容を端的に伝えている。

■一瞬も一生も美しく(資生堂)
「美しく生きる」ための商品・・・一瞬は「メイクアップ系」、一生は「スキンケア系」をイメージしているように感じます。企業姿勢も表現されていますね。

※資生堂グループ会社案内から抜粋:「美しく生きたい」という世界中の人々の願いに誠実に応えるために、当社がさらに徹底したお客さま志向の企業をめざすことを広く社会に宣言するメッセージとしてつくられました。

■まだ、ここにない、出会い。(リクルート)
リクルートの事業内容は一言で言えば「マッチング事業」。情報を集積してそれをひとつにまとめ(本であったり、サイトであったり)、サービス提供側と利用側を結びつける。
その事業内容を表現しています。

■自然と健康を科学する(ツムラ)
「漢方医学と西洋医学の融合により、世界で類のない最高の医療提供に貢献します」
これがツムラの企業使命であり、それを表現したのがこのキャッチコピーです。「自然=漢方」「科学=西洋医学」を表現しています。

■The Document Company(富士ゼロックス)
複合機及びソリューション・サービスを提供している会社。直訳「ドキュメント会社」と言い切ることで、事業内容がストレートに表現されている。

2-2. 「企業姿勢」を表現した企業キャッチコピー例

■目のつけどころがシャープでしょ(シャープ)
シャープ(鋭い)と社名を掛けている。シャープ製品は目の付け所が違う、他社と違う斬新さがあるという姿勢を表現している。

■人と人をうるおす(コカコーラ)
コカコーラ製品の世界的なミッションは「リフレッシュメント」。スカッ!とさわやか、
の提供です。そこにさらに“社会との共存を目指す企業の意思を表明”したのが、この企業キャッチコピーと言えるでしょう。

ただの飲みのもではなく、人と人とをうるおす(喜び、楽しい気分などにさせてくれる)存在でありたいという姿勢が感じられる。

■Inspire the Next(日立)
※日立グループの企業情報より抜粋:「Inspire」の語源は、ラテン語の「In」(中へ)+「Spirare」(息吹)で、「中に吹き込む」、「膨らませる」、「鼓舞する」という意味のほか、「精神、意識を高揚させる」、「元気づける」などの意味を持ちます。

「Next」の右上に赤く伸びるラインは「Inspire Flash」といいます。日立がさらに伸びていくという姿勢、新しい時代に進んでいくという意思の強さを象徴しています。

活気あふれる世界をめざして。
日立グループは、次なる時代に息吹を与え続けます。

■「お、ねだん以上。」ニトリ(ニトリ)
「お値段以上の商品を提供していく。」という企業姿勢を表現している。

■ヒューマン・ヘルスケア(エーザイ)
※エーザイ株式会社 企業理念より抜粋:ヘルスケアの主役が患者様とそのご家族、生活者であることを明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行することを企業理念に掲げています。

■おいしさ、そして、いのちへ(味の素)
味の素のグループ理念は『私たちは地球的視野にたち、“食”と“健康”そして、“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します。』となっています。その企業姿勢を簡潔に表現した企業キャッチコピーです。

■マチのほっとステーション LAWSON(ローソン)
ローソン=ほっとステーション=ほっと安心できる場所、HOT(暖かい)な場所を提供する、という企業姿勢を表現しています。なお、2013年からは「皆様の健康で長寿な暮らしをサポートしたい」という想いを表現した「マチの健康ステーション」というキャッチコピーを使っています。

2-3. 「事業内容」と「企業姿勢」のMIX型の企業キャッチコピー例

■ココロも満タンに(コスモ石油)
ガソリンを満タンにする、という事業内容と共に、「お客様の心も満タンにする」という顧客指向、顧客サービス向上も重視している企業姿勢が伺えます。

■水と生きる(サントリー)
サントリー コーポレートメッセージより抜粋:ウイスキーやビール、ワイン、清涼飲料や健康食品など、お客様に水と自然の恵みをお届けする企業として、地球にとって貴重な水を守り、水を育む環境を守りたい。水があらゆる生き物の渇きを癒すように、社会に潤いを与える企業でありたい。そして水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦していこう。そんな思いを日々新たにする言葉。

事業内容(水と自然の恵みをお届けする企業)と企業姿勢(社会に潤いを与える企業でありたい)の両方を表しています。

■カラダにピース CALPIS(カルピス)
“カラダ”に良いものがもたらす健康と、穏やかに心安らぐ情緒的な健康、“ピース”の双方を視野に入れた、『健康価値創造企業』を目指して成長を続けていく、という願いを込めた企業キャッチコピーです、同時に主力商品&ブランドである「カルピス」とも掛けたコピーです。

■小さなクルマ、大きな未来(スズキ自動車)
スズキは、1955年にスズライトを発売して以来、一貫して小さなクルマづくりの実績を積み重ねてきました。「小さな車」はこれからの社会の要請であり、今後とも真に価値のある小さな車づくりを通じて豊かな未来づくりに貢献したい、という意味を込めたキャッチコピーです。

2−4. その他(社名認知・社名連呼・商品サービス名型etc・・・)

■クロネコヤマトの宅急便(ヤマト運輸)
よく意味を考えれば「クロネコ」+「ヤマトの宅急便」という区切りになるが、出だしの「クロネコヤマト」という単語が1ワードとして、インパクトを与える。社名であるヤマト運輸よりも、クロネコヤマトの方が認知として高いのではないだろうか。

■セブン イレブン いい気分(セブン イレブン)
お馴染みのセブンイレブンの企業キャッチコピー。韻を踏んでいて記憶に残り易く、つい口ずさみたくなる。

■はじめてのアコム(アコム)
「はじめての・・・」という日常的なフレーズを用いて、続く社名を連想してもらい易いキャッチコピー。

■すぐそこサンクス(サンクス)
“すぐそこ”という言葉で近い距離感を与えつつ、「すぐそこ・・・」という日常的に使うフレーズを用いることで続く社名を連想してもらい易い。

■上から読んでも山本山、下から読んでも山本山(山本山)
社名の漢字に新しい視点を与えており、記憶に残り易い。

■黄色い看板プロミス(プロミス)
「黄色い看板をみかけたら、それはプロミス」という意識付けがされ、記憶に残り易い。

・・・いかがだったでしょうか。企業のキャッチコピーの作り方の基本型は「事業内容型」と「企業姿勢型」です。その2つの切り口のどちらでいくのか?それを決めた上で、キャッチコピーの作成に入るのが一番有効かと思います。

また、対外的なPRだけでなく、社内に向けてのインナー効果を狙うキャッチコピーもあります。企業姿勢型はインナー効果も高くなります。「うちの会社は、こんな企業姿勢でいくぞ!」と社内に浸透させる狙いでキャッチコピーを作る場合もあります。

まずは企業のキャッチコピーを作る「目的」をしっかりと考えることが大切です。その目的達成のために最良なキャッチコピーを是非、捻り出してくださいね。

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北野 哲正

北野 哲正

「コンラボ」運営責任者  株式会社コンサルタントラボラトリー 代表取締役 
コーチ・コンサルタント・セラピスト・士業・整体士などのサロン系ビジネスなどの独立・起業・集客支援を行う。会員制コミュニティ「コンサルタントラボラトリー」は会員数500名を越え、『一般社団法人日本マーケティングコーチ協会』『一般社団法人日本スマートフォンマーケティング協会』は協会員数600名を越える。また、取締役を勤める株式会社リアルネットでは、スマートフォンマーケティング、通販事業(スキンケア商品)を事業展開している。

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