パーキンソンの法則への超対策!~7つの例で学ぶ、お金と時間を守るセルフコントロール術~

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あるところに、ふたりのおばあさんがいました。おばあさんたちは、それぞれの孫に手紙を出すことを楽しみにしています。

片方のおばあさんは、手紙に様々な想いを巡らせ、丁寧に書き記し、推敲を重ね、便箋を丁寧に選び、気づくとまる2日かけて、大切に手紙を書きあげました。もう一方のおばあさんは、「洗濯して、掃除して、ご飯も作らなきゃ。手紙を書けるのはその後の2時間だわ」と考えました。

後日、おばあさんたちは出来上がった手紙を出して、大満足。受け取った孫たちもまた、一生懸命書いてくれたことを嬉しく思い、喜びました。書いた手紙の枚数までもが同じでしたが、唯一違ったのは、手紙を書くのに費やした時間だったのでした。

大学生の頃に聴き、印象深かったこのお話。使える時間いっぱいまで、作業時間は膨れ上がるということを示唆するものですが、これが今回ご紹介するパーキンソンの法則です。

『1週間後まで』と言われた仕事、余裕だと思っていたのに期限ギリギリになってしまう。給料日の前日になると、いつも財布の中がスッカラカンで貯金する余裕なんてない。

そんな経験、あなたにもあることでしょう。時間もお金も、あるものはあるだけ使ってしまうのは、パーキンソンの法則が働いているからです。

自然に任せていると、あなたの時間とお金は知らず知らずにどこかに消えてしまいます。自ら積極的にコントロールして、時間もお金もあなたの思い通りに使うことが、あなたの人生の質を高めることに直結します。

この記事を最後までお読みいただくことで、パーキンソンの法則に流されず、自分で時間やお金をコントロールするための方法を理解し、それを実践できるようになります。実践方法は難しいものではありません。今日から変えていき、効果を実感することができます。

1.パーキンソンの法則の意味

まずは、パーキンソンの法則の意味を理解することから始めましょう。パーキンソンの法則は、2つの法則から成り立っています。

1-1. 残業時間が多いのは『パーキンソンの法則 第一の法則』が原因

第1法則は、仕事における時間についての法則です。生産性が上がらなかったり、無駄な残業が発生したり。あなたにとっても実体験を伴うこととして感じられるでしょう。

パーキンソンの法則 第1法則とは、仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張するというものです。

ある作業に対して、2時間が与えられたらならば、その2時間をフルに使ってしまうのです。明日中と言われれば、明日の期限ギリギリまで使ってしまうのです。その結果、どんな仕事も締切間近に完成します。

あなたの仕事が、いつも締切ギリギリに提出となっているのだとしたら、パーキンソンの法則の第1法則が働いています。冒頭のおばあさんのお話も、この例ですよね。

2時間で終わる作業であっても、2日間まるまる使えると思ったら、使ってしまうものなのです。複数の作業を同時に行っている場合には、特に要注意。どれもすべて大事で、忙しいからという理由で、「残業」に対して不満を持つものの、当たり前のこととして受け入れている人が多いです。

『絶対に定時で帰ってやる』のではなく、『締め切りに間に合わなそうだったら、残業して頑張ろう』という、残業ありきの作業時間を見込んでしまいます

そうすると、仕事時間は、『自分の許容した範囲』まで広がってしまうのです。

1-2. お金がなくなるのは『パーキンソンの法則 第二の法則』が原因

第2法則は、お金についての法則です。それなりに稼いでるハズなのに、思うように貯金がいないように感じるとすれば、これが原因です。

パーキンソンの法則 第2法則とは、支出の額は、収入の額に達するまで膨張するというものです。

たくさん働いて、収入が増えれば増えるほど、それに比例するように支出も増えてしまうのです。収入の割には貯金がなかったり、臨時の収入があってもいつの間にか消えてしまったりするのも、この法則が働いているからす。

収入があった分だけ、支出として出ていくものなのです。『使えるお金がある!』と認識すると、その分は残すことなく使ってしまうものなのです。

1-3. 無意識でいると、パーキンソンの法則が侵食する

時間・お金を示したこのパーキンソンの法則をもう少し一般的に言うならば、ある資源に対する需要は、その資源が入手可能な量まで膨張すると表現できます。

大きめのカバンを買ったハズなのに、いつもカバンがパンパンになっていたり、大きな冷蔵庫を買ったのに満杯になっていたりするのも、このパーキンソンの法則が働いているのです。

パーキンソンの法則に侵食されると、2つのマイナスがあります。

本質的でないもの(仕事・お金の使い道)の量がどんどん増えていってしまう
・その結果、本質的なアウトプットの比率がどんどん下がってしまう

2時間で本来終わる作業なのに、2日間の作業時間を与えられると、いつの間にか『2日間の作業』になってしまいます。MAXの期限の中で、求められている以上のより良いものを作り上げようという意識が働きます。

それは一見すると素晴らしいことなのですが、些細な箇所にこだわり出したり、必要以上に見栄えを良くしようと時間を使ったりしてしまいます。

社内用のパワーポイント資料なのに、アニメーションが満載になっていたりしませんか??
文字色や背景色に、必要以上にこだわっていませんか??それ、本質的に必要ですか??
ふと財布に2万円があるからといって、必要ではないモノに使ってしまっていませんか??

パーキンソンの法則に侵食されないよう、自分で意識的に対策を打って、コントロールすることが必要なのです。では、パーキンソンの法則への対策をひとつずつ、見ていきましょう。

2.パーキンソンの第1法則の対策 生産性を上げる方法3例

まずは第1法則、『時間の膨張』を防いで生産性を高める方法を考えていきましょう。3つの例を挙げますが、いずれも自分で主体的に管理することが大切です。

2-1. 締め切りを定めて生産性を高める

仕事に期限が与えられると、その期間をまるまる消費してしまうのが『パーキンソンの第1法則』でした。なので、与えられた期限の手前に、自分で締め切りを定めるという方法が有効です。

そのために必要なことは、客観的に作業時間を見積もること。もし3時間で終わるのが分かったら、例えば今日中とか、明日のAMまでとか、自分の期限を設定しましょう。他の仕事との兼ね合いを考慮しながら、どの優先度でいつまでにやるのかを決めてしまいましょう。

自分の期限を明確に決めることで、その期限をしっかり守ろうという意識が働き、早く仕事を終わらせることができます。ただし、時間の見積もりの精度には要注意。特に、経験の少ない仕事においては、少なく見積もりすぎて、期限内に終わらなかったり、品質が下がったりしがちです。

仕事は、想定していなかったことが発生するものです。経験の少ない仕事は、見積もった時間の30%は余計にかかるものとして、余裕を持った期限設定することをおススメします。

2-2. 作業時間を明確するタイムマネジメント法

期限の設定からさらにもう一歩踏み込んだのが、その仕事を「いつ」やるのかを決めるタイムマネジメント法です。3時間、という作業時間見積もりができたのであれば、自分のスケジュール帳を開いて、書き込んでいきます。

空いているまとまった3時間を見つけて入れてもいいですし、1時間を3回に分けて取る、というのでもOKです。そしてその時間は、必ずその作業に取り組むと自分自身に約束します。

いつ、何をやるかが決まっていれば、その通りに行動できます。『何をしようか』考えたり、迷ったりする時間を減らすために、仕事をスケジュールしてしまいましょう。

ここでのポイントは、予定を詰め込みすぎないことです。この方法をやろうとしたときに、休みなくスケジュール帳に埋め込む方もいらっしゃいますが、詰め込みすぎると失敗します。バッファの時間も設定してください。

休憩や、急な予定変更にも対応できるようになりますから、スケジュールを埋めない時間をあえて作り、柔軟性を持たせておくのが望ましいです。

2-3. 人員をあえて減らして生産性を高める

仕事をチームでやっている方は、今割り当てている人員をあえて減らしてみるというのも生産性を高める方法です。かなりチャレンジングな方法ですが、効果は絶大です。

「今でさえ人がいないのに!減らすなんて絶対無理!」と、抵抗を感じる方も多いことでしょう。しかし、本当に無理かどうかは、試してみなければ分かりません。特に、何年も続いているような仕事は、惰性で仕事が膨らんでいる可能性も大きいです。

また、どんな状態でも、たとえ人が余っていたとしても、「人手が足りない!」と感じるものです。一度、期限付きで人員削減にトライしてみることをおススメします。

・・・というのも、このパーキンソンの法則が、仕事と人員の関係性に由来しているからです。イギリスの官僚制を観察した際に、仕事の量が変わらないのにもかかわらず、役人の数は増えている、という事象が発生しました。

極端に言えば、3人でやれる仕事を5人でやっている、という状況になってしまうのです。当たり前のことですが、本来、3人でやれる仕事は3人でやるべきです。

今、5人が関わっていたとして、3人に減らすことができれば、余った2人は他の仕事が担当できますよね。トータルの生産性が上がるのは間違いないです。

人員をあえて減らすことで、作業を見直して、本来不要なものを削減する動きにもつながります。生産性を高める一つの手段として、ぜひチャレンジしてみてください。

3.パーキンソンの第2法則の対策 お金を守る方法3例+1

続いて第2法則、『支出の膨張』を防いで、お金を守る方法を考えていきましょう。こちらもやはり、自分で主体的に管理するということが大切です。

3-1. 最初に天引きしておけば、お金が残る

収入の分だけ支出が増えるのが『パーキンソンの第2法則』でした。自由に使えるお金があると、使ってしまう・・・ということは、自由に使えるお金を余分に持たなければよいのです。

自分のコントロールできるお金の量を、敢えて減らしてしまいましょう。すでに実施されている方も多いと思いますが、『給料からの天引き』は理にかなった、有効な方法です。

保険や家のローン、財形貯蓄などは一般的ですが、さらに自分でも意識的に天引きしておくとお金を守れます。毎月2万円を余計に貯金に回したいのであれば、それも予算に組み入れて、天引きするようにしましょう。

3-2. 目的を持った”別口座”を持つ

前項の発展となりますが、目的を持った別の口座を作り、そこに入れてしまうというのもお金を守るために有効です。大事なのは、その口座の「目的」とその金額の設定です。

漠然と貯金していると、どれぐらい貯めればいいのか、何がしたかったのか・・・むなしくなることがあります。「2020年までに250万貯めて、PEUGEOT 208を買うための口座」とした方が、ゴールが明確で、貯めるモチベーションにもつながります。

そしてその口座は、ゴールにたどり着くまでには何があっても触ってはいけません。あなたの手を離れた、神聖なものとして扱ってください。気づけば、30%、50%・・・と、徐々に、しかし確実にゴールの金額にどんどん近づいていきます。

3-3. 支出を明らかにして予算を立てる

家計簿の基本ですが、使途不明金があるとお金は貯まりません。何に使っているか分からないけど、なんか手元にお金がない・・・こんな状態は、まさにパーキンソンの法則の餌食になっています。

コントロールは、すべてを明らかにすることから始まります。今月は何にどれぐらい使ったのか、直近の3ヶ月分の支出を明らかにしましょう。その支出の無駄を見直し、予算を立て、お金と付き合っていきましょう。

明らかにするだけでも、無駄な出費に気づき、お金を守ることができます。余った分だけ貯金する、のではなく、3万円ずつ貯蓄していくというように、具体的に予算計画を立ててください。

3-4. 支出の『基準』を決めて気持ちよく使う

アレも欲しいし、コレも欲しいし・・・人間の欲望は尽きません。浪費が多いのであれば見直すべきですが、すべて我慢すればいいというものでもありません。最終的には、お金は守るのではなく、いかに気持ちよく使えるか。そちらの方が大事です。

自分の納得できる、支出の基準を決めてください。

お金に関する本などでは、『支出の割合が、消費:浪費:投資が70:5:25になるように』と書いてあったりします。比率は自分自身で決めるにせよ、その基準で自分が納得しているかが大切です。

特に『投資』は、今の自分を成長させたり、将来により良い生活を送ったりするために必要不可欠な要素です。決めた基準の範囲内で、気持ちよくお金を使っていきましょう。

おわりに

パーキンソンの法則は、『水は低きに流れ、人は易きに流れる』を表すような自然の法則です。流れに身を任せているだけでは、自分の思う理想的な人生を歩むことは難しいでしょう。

敵を知り己を知れば、百戦危うからず。まずは自然の法則をよく知り、自分が実践できる方法を考え、それを継続していきましょう。それが、あなたの時間とお金を守り、あなたの人生の質を高めることができるようになる確実な方法です。

さて。あなたは、今日から何に取り組みますか?

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佐藤 友康

佐藤 友康

マーケティングコーチ 千葉大学工学部卒業後、IT企業にて10年間、商社向けの基幹システムの運用/保守・改善業務に携わる。 2012年にコーチングを学び始め、2014年よりコーチとしての活動を開始、2017年に独立し、個人事業主・起業家の売上UP・web集客などを支援する。 コンラボには2016年よりライターとして、2018年より社内コーチとして参画。 著書に「習慣化を成功させる本」「自分と可能性を育てるチャレンジの習慣」がある。 趣味の将棋はアマ三段&将棋普及指導員。

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